不登校新聞

549号 2021/3/1

「学校が求めるよい子にはなれない」軍隊のような校則になじめずに

2021年03月01日 17:07 by motegiryoga


町田和弥さん

 文科省の調査によれば、不登校は約18万人。そのうち小学生は約5万人、中学生は約13万人です。中学校に上がると、勉強がむずかしくなったり、部活で上下関係ができたりと、小学校に比べさまざまな変化があります。不登校経験者たちはどんな壁にぶつかり、どのように感じたのでしょうか。不登校経験者に自身の経験を執筆してもらいました。

*  *  *

 私がぶつかった「中学校の壁」は「校則」です。

 私が登校していた、東京の西中学校(仮名・以下「西中」)では、朝の登校時間に毎日、しかめつらした先生たちが校門前にあらわれます。「おい、えりあしが長いぞ!」「耳に髪がかぶっているじゃないか、髪を切れ!」。朝から怒鳴り声が飛びかいます。そう、ここ西中では男子の頭髪はスポーツ刈りと決められているのです。

 地元の床屋で「西中刈り」と言えばスポーツ刈りにしてくれるほど有名な校則でした。小学生のときはいつも床屋さんに「髪がサラサラできれいだね」とほめられていたものだから、「西中刈り」にとても抵抗を感じていました。

 西中では頭髪以外にも、「大きな声であいさつをすること」「下着や靴下は白で統一」など、小学生のときにはなかった決まりがたくさんありました。身だしなみやあいさつなど規律を守ることを徹底的に指導されるものだから、「西中の生徒は礼儀正しくていいわね」と地域の住民からの評判は上々です。

連帯責任で説教

 逆を言うと、規律を乱した生徒には容赦なく、生徒指導という名の怒鳴り声が飛びます。5時間目の終わり、帰りの学活でひとりでも校則違反の生徒がいれば、注意をしないみんなも悪いと連帯責任で延々とお説教が始まって、最後には決まって「けじめをつけろ」と怒鳴って終わり。シャツが腰からはみ出すことが、髪が耳にかぶることが、そんなに悪いことなのでしょうか。

 戦場で戦う軍隊のように、ひとりの規律違反が全隊員の命の危険を招くという状況であれば、規律を守る意味も理解できるのですが、学校でそこまで規律を強制する必要はなかったように私は思います。私はこの軍隊のような学校の雰囲気に耐えられず不登校になりました。不登校の原因はもちろんそれだけではありませんが、少なくとも西中が求める「いい子」という型におさまることができず、毎日学校へ楽しく通うことは当時の私にはできなかったのです。

 こうして私は学校という枠からこぼれ落ちていきました。

 その後、私は半年のひきこもり生活を経て適応指導教室に通い、定時制高校に入り、1年浪人のすえ、大学へ。いつのまにかサラサラヘアが天然パーマになっていました。社会人では5回の転職をするなど、クネクネと寄り道ばかりでしたが、なんとか楽しく生きています。

 いま思えば私が苦しんだ校則は、法律に比べれば少数の学校の先生が恣意的に決めた可変性のないルールです。そのルールに適応できないからといって、自信をなくす必要はありません。不登校だった私でも適応できたコミュニティは今までたくさんありました。大学受験の息抜きに通った水泳教室や、就職したとき最初に配属されたチーム、趣味のイラストサークルなどが、私の居場所となりました。適応できる居場所は学校とはかぎらないのです。不登校を経験した私たちは、ときに社会から「変わってる」と見られるかもしれません。でも、みんなちがって、みんないい。私がぶつかった中学校の壁は校則という多様性への不寛容さだったのです。

■執筆者/町田和弥(まちだ・かずや)
中学1年生の冬から不登校。都立高校、公立中学の教員を経て、現在は不登校やひきこもりのための塾で働いている。

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