不登校新聞

549号 2021/3/1

生活リズムが乱れた子どもへの対応原則は「混ぜると危険」

2021年03月29日 13:57 by koguma


加嶋文哉さん

 小学校教諭を32年間勤めてきた加嶋文哉さん(大分県在住)。加嶋さんは、不登校の子を持つ親であり、不登校の親たちが集まる親の会を長年、主宰されてきました。加嶋さんのもとに集まってきた「わが子の不登校をめぐる親の失敗談」は、とても示唆に富むものです。今回は「生活リズムへの対応」の失敗談から学んだことを書いてくれました。

*  *  *

 学校の先生から「学校へ来ない日でも、生活リズムは崩さないように気をつけてください」と助言されることが最近増えてきました。Aさんもその一人。

 Aさんの息子が不登校したのは、中学2年生の7月ごろ。担任から「無理をさせず、子どもを信じて待ちましょう。学校のことが気になると思いますが、学校の話題はあまり出さないほうがよいと思います。ただし、生活リズムだけは壊さないように、家庭で気をつけてください」とアドバイスされました。

 Aさんは「学校には行かなくてもよいけど、朝はちゃんと起きて家族でご飯を食べよう」と、子どもに伝えました。最初は声をかけると起きていましたが、だんだんと布団から出てこなくなりました。「うるさく言っても関係が悪くなるだけ」と実感したAさんは、時計を見ながら10分ごとに声をかけ、1時間くらいかけて起こすようにしました。それでも、起きてくれません。「みなさんは、どんなふうにして子どもを起こしているんですか」と、ある日の親の会でAさんが質問を投げかけました。

規則正しい?

 口火を切ったのは、中学生の子どもを持つBさん。「最初はやさしく起こしていたけど、私のほうがイライラしてしまって、毎朝のようにケンカになっていました。しだいに、こんな思いまでして起こすことに意味があるのかわからなくなってしまって。そのくせ、自分が起きたいときには、機嫌よく起きてくるんですよ」と笑顔で体験談を語ってくれました。

 うなずきながら聞いていたCさんも「深夜までゲームをしているから朝起きられないのだと思い、ゲームは夜11時までと決めました。でも、私たちが寝た後に、こっそりゲームをしているんですよね」と、規則正しく起きてこない子どもの話をしてくれました。

 そんななか、話を聞いていたDさんがひとつの問いを投げかけました。「不登校はよくても、昼夜逆転をしてはいけないというのはおかしいと思いませんか。子どもにしてみたら、学校へ行かないから朝早く起きる必要がないわけなのに、どうして学校の先生は規則正しい生活リズムが気になるのか」と。聞けば、Dさんの息子さんは高校を卒業してバイトをしていますが、バイトがない日は昼夜逆転の生活をしているとのこと。

 みなさんの話を聞き、私は「混ぜると危険」ということについて話をしました。「昼夜逆転の生活で困っているのは誰か、そこを見極めることが大切だと思います。困っているのは子ども本人か、それともまわりの大人なのか。そこをごちゃ混ぜにして考えてしまうのは危険だと思います。朝早く起きたいと思っている子どもは起こしてあげたほうがよいけれど、起きたくないと思っている子まで起こそうとするのはどうか」と。

 ほかの家庭の話を聞くなかで、Aさんは「不登校の子どもが、朝起きてこないことはそれほど問題ではない」と感じたようでした。

■執筆者/加嶋文哉(かしま・ふみや)
1959年生まれ。小学校教諭を32年間勤め、在職中だった1994年に「星の会」(不登校を考える親の会)を設立。

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