不登校新聞

549号 2021/3/1

学校へ行かない息子を信じて待てなかった理由

2021年03月01日 16:58 by kito-shin
2021年03月01日 16:58 by kito-shin

 「不登校の自分を受けいれてくれた。優しく接してくれ、葛藤がないように見えた」と息子は思っているようだ。今はよい関係、自然体で付き合えるので、よい記憶しか残っていないのではないかと思う。親が「信じて待てる」ようになったのだと思ってくれているのかもしれないが「信じて待つ」というのは、それほどかんたんなことではなかった。

 息子は中学2年から学校へ行けなくなった。私自身、息子と関係する先生や学校に対する不信感が強かったので、学校へ行かないことに反対はしなかった。一方で、家にいる息子とどう接したらよいのかわからなくなっていた。家にずっといると社会に出るきっかけもなくなってしまい、よくないことだとも思っていた。少しでもヒントがほしいと思い、不登校の親の会に参加した。「何気ない世間話、あたたかい食事をいっしょに食べるなど、特別なことではなく『日常生活』をするとよい」と言われ、とにかく実践してみた。

待てなかった

 不登校が始まってから1年、暴力やひどい幼児返りも収まり、不安定な状態から抜けられるかというころ、高校進学がチラついてきた。「定時制や通信制の資料だけでも集めるから」と言う担任の助言もあり、ついに居間のテーブルに高校の資料を置いた。あとから思うと、子どもが高校へ行きたいと言ったわけではないのに、私の都合でやってしまった。「待てなかった」のだ。

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

「あなたは誰より大切だよ」不登校を経験した4児の母が、あのころ一番欲しかった言葉【全文公開】

624号 2024/4/15

「僕、先週死んじゃおうかと思ったんだよね」小5で不登校した息子の告白に母親が後悔した対応

623号 2024/4/1

「原因を取り除けば再登校すると思っていた」不登校した娘の対応で母がしてしまった失敗から得られた気づき【全文公開】

623号 2024/4/1

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

624号 2024/4/15

タレント・インフルエンサーとしてメディアやSNSを通して、多くの若者たちの悩み…

623号 2024/4/1

就活の失敗を機に、22歳から3年間ひきこもったという岡本圭太さん。ひきこもりか…

622号 2024/3/15

「中学校は私にとって戦場でした」と語るのは、作家・森絵都さん。10代に向けた小…