不登校新聞

560号 2021/8/15

「ひきこもりだったから」という固定概念。僕が抜け出したきっかけ

2021年08月17日 10:27 by kito-shin


ひきこもり経験者・瀧本裕喜さん

 自分の身に起きたネガティブなことも、ポジティブなことも「僕はひきこもりだったから」と、なんでもひきこもり経験につなげて考えてしまう。そんな自身の思考回路のクセを「ひきこもりフィルター」と瀧本裕喜さんは呼んでいるそうです。「ひきこもりフィルター」とは、どんなものなのか。当事者にしかわからない心境を執筆してくれました。

* * *

 僕は、18歳から25歳の7年間ひきこもっていた。自分の部屋から抜け出し、外の世界に出るようになって15年。最近、自分の価値観に関して気づいたことがある。それはどんなことも、ひきこもりと関連づけてしまう「ひきこもりフィルター」が僕のなかにあるということだ。思い返してみると「ひきこもりフィルター」はこれ以上自分が傷つかないよう、ずっと盾の役割をしてくれていたように思う。

面接での経験

 ひきこもりから立ち直ったころ、アルバイトの面接を受けたことがある。7年間ひきこもったことを面接中に打ち明けると面接官は驚いて、しだいに僕と目を合わせなくなった。打ち明けるまでは穏やかに会話が進んでいたので、急に対応が変わったことに僕は激しく動揺した。

 結局、その面接には受からず「ひきこもりだから面接に通らないんだ。社会復帰するには、ひきこもりを隠さないといけないのか」と当時の僕は強い違和感を覚えた。アルバイト面接での経験を思い返すたびに「僕にひきこもりの経験があるから、面接官は目を合わせてくれなくなったのだ」と、僕はつい最近まで思っていた。

 しかし、そんな僕の価値観は変わることになる。それは、記事執筆のため『不登校新聞』のある会議に参加したときのことだった。

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

地元の同級生から逃げ続けていた私が成人式に出席して感じたこと

569号 2022/1/1

「お約束の展開」とはちがう、ひきこもり男性の話

569号 2022/1/1

私が苦しんだ「自意識」から解放されるまで【18歳の不登校当事者手記】

568号 2021/12/15

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

570号 2022/1/15

「どうしても自分に自信が持てない」と悩んでいたひきこもり経験者が「この人に...

569号 2022/1/1

コロナ禍で親子の距離も自然と近くなったために「叱り方」と「甘えさせ方」に悩...

568号 2021/12/15

子育てをしていても「人としての幸せを感じたい」。そう感じていた熊谷亜希子さ...