不登校新聞

565号 2021/11/1

ひきこもりへの認識と対策は【各党の回答/衆院選2021】

2021年10月25日 14:31 by shiko

質問:ひきこもり支援に関する現状認識と今後必要な取り組みは?

【自民】
 わが党の「いわゆる『ひきこもり』の社会参画を考えるPT」において、都道府県などに設置されるひきこもり地域支援センターのうち、26カ所を所属議員が視察し(ほかに基礎自治体の取組みを2カ所視察)、取組みが不充分であると感じたところです。ひきこもり状態にある当事者やそのご家族の生きづらさを解消して一歩踏み出すことを後押しできるよう、身近な相談窓口の設置や安心できる居場所づくりの促進、さらに良質な支援者を育成する研修機会の確保などについて政府に要請するとともに、将来的にはひきこもり支援に関する法律の制定を目指します。

【公明】
 全国100 万人以上とも試算される、ひきこもりの長期・高齢化などの課題に対しては、家族を含めたさらなる支援の強化が求められています。ひきこもりは、早期発見・支援に繋げていくことが重要なため、相談窓口の周知や支援情報の提供、支援団体への橋渡しなどを推進します。あわせて、オンラインやアウトリーチの相談支援に結びつける取り組みを強化するとともに、安心できる居場所づくりや本人・家族の心情に寄り添う支援従事者の育成・研修を進めます。

【立憲】
 内閣府や厚生労働省などの調査で、ひきこもりの長期化や高年齢化が進んでいることが明らかになっています。原因や状況、対応策は多様であることを認識したうえで、立憲民主党は、以下のような取組みを進めていきます。
・若者が気軽に立ち寄れる安全な居場所の確保
・家族全体への支援を推進するためのワンストップ窓口の設置
・縦断調査を含めた総合的な調査と分析の推進
・不登校、ひきこもり、摂食障害など、心の悩みや問題を抱える青少年への診療体制の整備
・支援の手が伸びていない家庭に対する積極的な働きかけ

【国民】
 国民民主党は、孤独対策の必要性をはじめに提唱しましたが、ライフステージにそれぞれ異なった孤立孤独があり、きめ細かに対応します。また、2019年に他党に先駆けて「孤独担当大臣」を提案、新設しました。

【共産】
 事態の規模と深刻さに比べ、行政の支援はあまりに不充分です。第一に、予算を大幅に増やし都道府県などにまとまった専任の職員を配置し、市区町村の所轄部署・窓口を明確化します。第二に、本人(家族)の話をじっくり聞き、本人の意思を尊重したオーダーメイド型の支援を、継続的に行なうようにします。ピアサポーターの積極的起用や支援団体との連携などを重視します。第三に、就労だけがゴールという発想をやめ、本人がみずからの経験を活かしながら地域活動に参加する「社会的役割の機会創出事業」を広げます。

【維新】
 国の実態調査により、39 歳以下だけでなく、40 歳以上のひきこもりの問題が顕在化された。ひきこもりは、これまで行政との接点がなかった職種、世代が多く、「相談窓口の設置」では解決しない。行政にとっては不得意な分野にあたり、行政の側には、これまで以上の対応の工夫が求められる。ひきこもりの一人ひとりの問題に踏み込んで解決していく手順を重ねていくことが、解決手段への新しい道につながる。

【社民】
 ひきこもり当事者は自己肯定感が低い傾向にあることが研究の積み重ねから明らかとなっています。支援がひきこもり状態から脱することや就労に至ることに力点を置いていることが当事者のニーズと支援のズレだと認識しています。当事者がひきこもるに至った経過やひきこもり経験をみずから言語化して人生のなかに落とし込み、それらの経験を含めた自己に対する肯定感を獲得していくための伴走型支援が必要と考えます。

【N党】
 たんに「ひきこもり」と言っても、ひきこもること自体は手段であり、家庭環境や社会環境の問題、発達障害などひきこもりの原因は多岐に渡ります。そのため支援体制も特定の団体などに偏らず多様化すべきです。そもそも多くの国民にひきこもりの実態への理解を求めて日本全体で許容していける社会が望ましく、その前提で然るべき議論や政策の検討をしていくべきと考えます。また、ひきこもりは周囲が「社会的自立を支援したい」という思いが先行しがちで、本人の意向なども踏まえた総合的な判断による支援が必要です。ひきこもること自体を問題視せず、多様性を認めたうえで、本人が必要と感じたときに適切な支援が受けられる仕組みを検討してくべきと考えます。

【れいわ】
 ひきこもりに関しても、不登校同様、長らく個人の特性と考えられ、不登校との連続性が強調されてきました。しかし、不登校同様、社会環境のなかで生み出され、年齢・性別に関係なく誰にも起こりうることと捉える必要があると考えます。不登校の延長として若年者が就労していない、それが長期化しているだけでなく、働き盛りの世代が退職してひきこもるケースもあるからです。

 ひきこもりがクローズアップされたのは1990年代からですが、それまでの高度成長期、バブル期では、家庭に余裕があれば、無職で社会参加していなくとも目立った問題にならなかったのが、長引く不況と核家族化の進行で、家族だけで支えきれなくなったために問題が顕在化したともいえます。80代の高齢の親と単身で無職の50代の子が同居している困窮世帯」いわゆる「8050問題」がその典型です。

 ひきこもり対策の行政の支援策としては、ひきこもり地域支援センター、生活困窮者自立支援制度、就職氷河期世代支援活躍プログラムなどがありますが、まず、若者でも生活困窮者でもないひきこもりの人が制度の谷間に落ちてしまい、公的サポートが得られないという課題があります。属性でなく必要性に応じた支援の枠組みが必要です。人間関係(いじめや排除)で心の傷、病を抱えてひきこもりになった方には、行政の支援パッケージに行きつく前に、まずは癒しや治療、リカバリー(回復)が必要です。ひきこもり当事者によるピアサポートの場への行政の支援が必要と考えます。

 また、8050問題の場合は、ひきこもりの当事者だけでなく、高齢の親を含めた家族全体の支援枠組みが必要になってきます。貧困、親の介護、情報の遮断、社会的孤立など重層化した問題に対応するには、支援を求めに来るのを待つのではなく、行政、民間のアウトリーチ型働きかけが必要です。アウトリーチ型支援で有名な、豊中社会福祉協議会のコミュニティ・ソーシャルワーカーの全国的展開を考えています。

※各項目200文字程度での回答を依頼し、回答全文を掲載しました。漢字仮名づかいのみ編集部にて校正を行なっています。

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