不登校の子どもに何ができるのか。45年以上、相談を受けてきた心理カウンセラー内田良子さんは、子どもの心理を捉えた対応を提案しています。内田さんが講演した連続講座「不登校・ひきこもりへの理解と支援」(主催・かわさき市民アカデミー)の抄録を掲載します(※画像は内田良子さん)。
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私が今日1番お伝えしたいのは「不登校はどの子にも起こりうる学校問題」であることと、登校しぶりが始まったら「子どもにも学校を休む権利があることを伝え、休ませてあげてほしい」ということです。
今日、日本で子どもの自殺は増え続けています。内閣府の統計で1年365日のなかで子どもの自殺がとくに多いのは、夏休み明けの9月1日。次に多いのが新学期。その次はゴールデンウィーク明けとお正月休み明け。長いお休みが終わったあと、登校を前に子どもたちが命を絶っているという現実が今の日本社会にはあります。昨年コロナで学校が3カ月休校になったあとと、短い夏休みが終わったあと、突出して子どもの自殺が多かったという報道も今年ありました。
学校での居場所を失った子どもたちにとって、学校を休めるか休めないかは命の分かれ道だと私は思います。命を絶った子どもたちの共通項の1つとして、いじめなどがあるのに学校を休めていないという特徴があるからです。長期休み明け、命を絶つ子が多く出る季節は、同時に登校拒否、不登校をする子どもが多発する時期でもあります。つらい学校を休めた子どもたちは命を絶たずにすんだ。でも学校を休めなかった子どもたちは追い詰められ、命を絶っていってしまうということがあるのではないでしょうか。
子どもたちが休めない背景の1つとして、子どもたちが置かれている過酷な状況があると私は感じています。
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