不登校新聞

294号(2010.7.15)

西原理恵子さん取材後記「取材で見つけたもの」島夢美

2013年11月01日 16:29 by kito-shin


取材で見つけたもの


 西原さんへの取材初打ち合わせの日。その扉を開くと「はっ、これはたいへんなところに来てしまった」と後悔の念がよぎった。そこに居るのは会ったことない人と、会うことはあっても自分のことを話す機会がなかった人たち。全員で5人。
 
 ここに居ていいのかと思い、なんとなく自分がここに来た理由を考えた。
 
 西原さんのマンガの登場人物は、大きい悲しみと孤独を抱えながらも、それを受けとめなくてはいけない状況のなかを生きている。そんな弱さと強さが混ざった人たちの物語を西原さんは描いている。
 
 ただ「なんで西原さんに取材したいのか?」と聞かれると、その答えはよくわからない。気持ちがブレてくる。「こんなんじゃ会う日までに緊張で押しつぶされる」と思いながら、打ち合わせに参加した。

 西原さんへの取材テーマは「親になった立場から不登校をどう見ているか?」。しかし、自分たちが親ではないので、どうもうまくかない。そこで、テーマを「親子関係」に変えて、自分たちが親子関係で感じていることを西原さんにぶつけ、その返事を聞こうということになった。

本当の自分をぶつける

 
 「まさか自分のことを話すなんてぇ~」と、最初はあたふたしたものの、とっても奥が深い「取材の心得」を、知ることになる。取材の心得とは、人の話を聞くということは「本当の自分」を相手に打ち明けること。まずは取材するメンバーどうしで自分たちのことを話し合った。私の場合、父親の病気、借金、ギャンブル。そして起伏の多かった自分の暮らし……。ほかの人たちからは、父親から不登校についてひどく傷つけられた話、あるいは「僕は、ふつうの家庭に育ったけど幸せを実感できない」という話。初めて会う人に、自分のことをどこまで話したらいいのか、距離感がわからずに話していたけど、話すうちになにを聞きたいのかが、見えてきた。親子関係のことは、人それぞれが比べようがなく、その計り知れなさが、質問に活きてくるんだということを、この日、知った。そして、自分が何となくここに居てもいいんだとも思えた。
 

ぐだぐだの本番前取材

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