不登校新聞

292号(2010.6.15)

いのちとはなにか「高草木光一さんに聞く(中)」

2013年11月06日 14:41 by 匿名
2013年11月06日 14:41 by 匿名



今回は前回に引き続き高草木光一さんのインタビューを掲載する。


――「与死」について高草木さんの見解は?
 2009年に改正臓器移植法が成立して、「脳死=人の死」として一般化されることになりました。ドナーの年齢はこれまで15歳以上とされていましたが、年齢制限が撤廃されて0歳からの臓器提供が可能になりました。論点は多くありましたが、おそらく最大の争点の一つになったのが「長期脳死」という事態をどう見るかでした。とくに小児の場合には、いわゆる「脳死」概念が当てはまらず、「脳死」のまま何年も生き延びる例が報告されています。つまり、これまでの「脳死」概念を適用すると、その後、何年も生きるかもしれない人から臓器を摘出するという恐ろしい事態を招いてしまう。そこが問題だったのですが、改正案(A案)提出者たちの説明はきわめて不誠実なものでした。「長期脳死」と言われる例は無呼吸テストを含まない「臨床的脳死診断」後の状態であって、2回の無呼吸テストを含む「法的脳死判定」基準を満たしているわけではない、と主張しました。参考人として呼ばれた森岡正博氏たちが、法的脳死判定基準を満たす長期脳死例を具体的に挙げているにもかかわらず、それを否定し続けたのです。法案成立直前になってようやく認めることになりましたが、その点が議論の出発点で共通の了解事項とされていれば、このA案がそのまま通るという愚は避けられたと思います。そのほかにも、アメリカでは法的脳死判定を受けて臓器摘出される寸前であった人が生き返ったという「ザック・ダンラップ事件(2007年)」などが起こっています。いま、「脳死」概念自体が揺らいでいると言えます。

 今後は脳死に代わる概念をつくらないと、臓器移植自体が破綻する可能性があるわけです。そのような意味で、尊厳死法案がどのようなかたちで提出されるのかが注目されるところですし、松村氏の「与死」は、「脳死」後の問題を先取りしたかたちで提起されたものと見なしています。
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