不登校新聞

578号 2022/5/15

6年間関わり続けた私にとっての不登校・ひきこもり当事者会

2022年05月13日 14:09 by kito-shin
2022年05月13日 14:09 by kito-shin

 不登校経験者のザンヌさん(20代)は、長いあいだ他者に心を開けずにいたが、ひきこもりの当事者会に参加したことをきっかけに、自分や他者とあらためて向き合うことができたという。その後も不登校・ひきこもりの当事者会に6年間足を運んでいたが、関わり続けるなかで、しだいに「居場所」に対する捉え方にも変化があったそうだ。当事者会に関わるきっかけや心境の変化を執筆していただいた。

* * *

 私が自分の極度に自閉的な内面を見つめ、ひきこもりの経験者が集まる当事者会に参加し始めてから、すでに6年ほどが経とうとしている。当時21歳だった私は、幼少期の家庭での虐待、それが原因となった不登校や高校中退などの過去の混乱から、どうしてもいたたまれなくなり、1年ほど、バックパッカーとして世界を放浪したあとだった。  

 旅をしているあいだは、時間があればキンドルで買った電子書籍を読み、自分の張り裂けそうになる心の原因を必死で探しあぐねていた。心理学や虐待に関する本を読んでいくうちに、自分には他人に心を開けない要素があるということに気がついた私は、帰国後、同じような苦しみを抱える人たちが集まるひきこもりの当事者会に参加するようになった。

 実際私にはひきこもりの経験はないが、当事者会には私のように過去に多くの困難を抱えた人たちがいて、しだいに私も自分の内面の苦しみを打ち明けられる場となった。人づてにほかの当事者会も紹介され参加していくうちに、定期的に通う場所もいくつかできた。そこでの人々との関わりは、すべてが美しいものではなかったにせよ、自分の内面への理解に大きく貢献した。

 しかし、定期的に通う場所を見つけはしたものの、私は本当の意味で当事者会を「居場所」と感じることはできなかった。

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