「学校へ行けない」「教室へ入りたがらない」という不登校の子どもは増えています。文科省の調査によれば、不登校は8年連続で増加して過去最多を更新。小中学校の不登校児童生徒数は20万人にのぼりますが、それも氷山の一角。「保健室登校」や「給食だけ登校」など実際には教室に入れないものの「不登校」には調査の定義上、入っていない人もいます。このような「不登校傾向」の子どもは中学生の1割、推計33万人いるとの調査もあります。
いまは誰もが不登校になる時代であり、どんな親でも一度ぐらいは「学校へ行きたくない」と子どもから相談を受ける時代です。一方で親が心配しているのは「不登校のその先」です。一時的に学校を休むのは問題がないのですが、それが長引くと進学にも響き、果ては就職にまで響かないだろうか、と。そう考えるから、子どもが泣いても喚いても、なんとか学校へと引っ張っていこうとするものです。
親もやりたくて子どもに強く当たっているわけではありません。
しかし、すこしだけ冷静になって考えてみていただきたいのは、学校を休むと「就職がない」と決めつけてはいないでしょうか。あるいは、不登校の人が働ける会社があるかもしれないが、それは「よくない会社」だと思ってはいないでしょうか。
正社員の求人・転職情報を扱う『マイナビ転職』では、1万5871件の正社員求人情報のうち「学歴不問」の求人情報は9315件でした(2022年6月22日時点)。約6割の求人が「学歴不問」でも応募できるのです。また、学歴不問に加えて「職種未経験OK」「業種未経験OK」という条件を加えても、全体の4割(6778件)が該当しました。
不登校になると「学歴」や「職歴」がなくなり、不利になると考えられがちですが、雇用者のほうは、体裁ではなく「本当にやる気があるか知りたい」「人柄を見て決めたい」と思っているそうです。
より積極的に不登校やひきこもりを応援している会社もあります。不登校・ひきこもり経験者に仕事を教えて、自社や他社での就職を可能にしている「南富士株式会社」がその一つです。南富士は創業46年の外装会社。国内はもちろん中国やベトナムなど海外にも事業所を設ける会社で、年商は66億円です(2020年)。
南富士では自社で培ってきた「人づくり」のノウハウを活かし、若者の社会復帰を応援したいという思いから「ルーフマイスタースクール」というひきこもり・自立支援事業を2017年3月からスタートしました。
ルーフマイスタースクールでは数か月間の研修を経て、屋根施工の技術を身に着けていきます。研修は段階的に行なわれます。最初は週2日・1日2時間の研修からスタートし、最終的には週5日終日、大型の屋根模型を使った模擬研修などを行います。数か月間の工程で技術および社会人基礎の取得が認定されたら研修は終了。その後は南富士で正社員として働くこともできるため、研修者の半数程度が現在も南富士で働いているそうです。
研修料金は無料、というより研修者がもらえます。生活補助金として月額8万円が支給。希望者には家賃・光熱費無料の社宅があり、道具やユニフォーム・交通費も全額支給。労災保険にも加入。参加資格は18歳から40歳ぐらいまでの「仕事に取り組む意思があり健康な方」。性別・学歴・国籍は問いません。
「こんな話、本当なのか」と思うかもしれませんが、不登校の親やひきこもりの方ならば、ぜひ一度、南富士のお話を聞いてみるのはいかがでしょうか。応募しないまでも、実際に話を聞くと「選択肢」が広がるはずです。最後に宣伝をしますと、7月7日にルーフマイスタースクール採用担当者を招いて、イベントを行ないます。南富士では、どんな研修を行っているのか。不登校経験者はどんな進路を歩むのかがテーマです。ただし、このイベントは、不登校の親専用オンラインコミュニティ「親コミュ」の限定イベント。参加するためには「親コミュ」に登録していただく必要があります。会費は月額1000円ですが、初月無料。イベントの開催月だけ会員になって退会していただいても結構です。親ではなく「当事者です」という方も歓迎です。
お申し込みは、不登校新聞の「親コミュ」で検索して登録をお願いします。(『不登校新聞』代表 石井志昂)
■親コミュ限定イベント「不登校経験OKの求人あります/屋根職人編」
日 時 7月7日(木)10時半~12時
講 師 南富士株式会社・採用担当者/本紙編集長・石井志昂
形 式 Zoom
対 象 不登校の親専門コミュニティ「親コミュ」加入者(月1000円/初月無料)
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