不登校新聞

291号(2010.6.1)

子どもの貧困ネット設立、不登校、朝鮮学校の子らも訴え

2013年11月15日 16:37 by kito-shin
2013年11月15日 16:37 by kito-shin


 2010年4月25日に発足した「なくそう! 子どもの貧困全国ネットワーク」。設立記念シンポジウム当日は、フリースクールや朝鮮学校などに通う子ども・若者によるシンポジウムも行なわれたほか、「子ども・若者『学びの平等宣言』」が採択された。今回は同ネットワーク共同代表の一人である三輪ほう子さんに、当日のようすや今後の活動展開などについて、執筆いただいた。

 「フリースクール・フリースペースに通う高校生年齢の子どもに、通学定期券の適用を認めてください!」、
「高校授業料無償化の対象に、朝鮮学校も差別なく加えてください!」、「『学びたい!』という気持ちを自然に抱くことのできる安心で安全な生活環境の保障をしてください!」、「高校、大学の給付型奨学金を公的資金で新設してください!」。

 これは、4月25日、「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク設立記念シンポジウムのなかの〈子ども・若者シンポジウム〉で発表された「子ども・若者『学びの平等宣言』」にある要望です。

 2010年4月から「高校授業料無償化」が実現したことは、たしかに画期的なことではありますが、でも、日本で暮らす高校生年齢のすべての若者が学ぶことを無償にしているのではありません。

 フリースペース、朝鮮学校、自立援助ホーム、定時制高校、遺児家庭など、無償化の対象にならなかったり、授業料以外の学費負担が重いままだったり、学ぶことにお金の問題が障害となっている若者たちが存在しています。

 
 それらを解決していくうえで、この「宣言」はたいせつな一歩であると思います。若者自身が自分たちのことばで発信しているという点で、また、ひとつの立場だけでなく、つながりをつくっての共同の発信であるという点で。

 1月末に準備会としてスタートした私たちネットワークは、年度末を控え、学費滞納による卒業危機や希望しても定時制高校に入れない問題など中学・高校生の「卒業クライシス」に取り組み、若者の発信の機会をつくってきました。そして、これまで長いあいだ子どもたち若者たちに寄り添ってこられた先生方やおとなたちなどの支えも得て、「学びの平等宣言」は実現したのだと思います。

 「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワークは、子ども・若者たちを主人公に、赤ちゃんから若者まで、お金がなくて困ること、そのことから生まれるつらいこと悲しいことをなくしていくために活動していきます。政策や法律づくりへの提案、調査といった社会に働きかける活動や発信のみならず、おたがいの活動の場所を訪ねての学び合い、子どもたち若者たち自身が参加して楽しいイベントなど、つながりが希望になるような取り組みを工夫していきたいと思います。

 困難もあるけれど喜びもある取り組みをいっしょにしていきませんか? 子どもたち・若者たちの生きる権利・学ぶ権利を実現していくための保障として、子どもの貧困を解決していくことを願っています。(全国ネットワーク共同代表・三輪ほう子/連絡先080・1158・3494)

関連記事

「不登校の子どもが1歩を踏み出すときは?」『不登校新聞』代表が語る心が回復する4つの過程

622号 2024/3/15

「不登校からの高校選びに迷っている親へ」現役校長が語る高校選びの際に役に立つ4つの極意【全文公開】

620号 2024/2/15

「失敗しても大丈夫という体験を」子育てで親が一番大事にすべきこと

618号 2024/1/15

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

624号 2024/4/15

タレント・インフルエンサーとしてメディアやSNSを通して、多くの若者たちの悩み…

623号 2024/4/1

就活の失敗を機に、22歳から3年間ひきこもったという岡本圭太さん。ひきこもりか…

622号 2024/3/15

「中学校は私にとって戦場でした」と語るのは、作家・森絵都さん。10代に向けた小…