不登校新聞

289号(2010.5.1)

【公開】フリースクール「りんごの木」20周年

2013年11月19日 15:09 by 匿名
2013年11月19日 15:09 by 匿名


 「居場所がほしい」という子どもの声から、1990年6月に不登校の子どもの居場所「フリースペースりんごの木」がスタートして20年になります。当初、地元の学習塾の空き時間に部屋をお借りして週2日の運営でした。その2年後に、りんごの木を取り巻く大人たちが中心となり、主に不登校の子どもを支援していく目的の会「越谷らるご」が生まれました。りんごの木に参加する子どもの数が2~3人という時期もありましたが、不登校の子どもの数の増加とともに、参加者も増え、足の踏み場もないほど人をかき分けながら部屋を出たり入ったりしなければならないような状況になってしまい、なんとかしたいと思い始めたころ、NPO法が施行されました。それがきっかけとなり、私たちも非営利の形で毎日子どもたちが集える居場所の開設を検討しようと、1998年末に「フリースクールのためのNPO法人設立準備会」を立ち上げ、2001年4月にNPO法人越谷らるごが運営するフリースクールとしてりんごの木が新たにオープンしました。


 りんごの木のルールは「①自分のことは自分で決める、②みんなのことはみんなで決める、③みんなで決めたことはみんなで守る」です。毎週金曜日にあるミーティングは、りんごの木ですごす子ども、ボランティア、スタッフが対等の関係で一票を投じ物事を決めていく時間です。たとえば、現在の掃除のかたちもミーティングで何度も話し合いを重ね決まったものです。今では「最後までいた人は掃除をしてから帰る」ということが定着し、トイレ掃除なども「私やります」と手が上がり、なごやかな雰囲気のなか、サッサと片付けてしまいます。これはなかなかスゴイことではないかと思っています。

 子どもたちと準備中の20周年記念の会では、とくに著名な方をお呼びせず、自分たちでなんとかしようということになりました。「ほんとに大丈夫かしら」と思いながらも、子どもたちの意見を尊重し、子どもたちを中心に、みなさんと20周年をお祝いする会にしたいと思っています。

 また、地域のなかで活動していくことを大事にしたいという考え方から、今年度は地元の商店街や大学と協議会をつくり、「アルバイトをしたいけれど不安がある、長続きしない」などと悩んでいるりんごの木の高等部の子どもたちのアルバイト体験をお願いする事業(文科省の委託事業)を地域の人々と進めていくことになりました。これからも、子どもたちが孤立感を抱くことなく、いろいろな人々とつながっているんだと実感できるような活動をともに創っていきたいと思います。 (越谷らるご代表 増田良枝)


イベントを鋭意準備中で~す


こんにちは。フリースクールりんごの木20周年記念イベント実行委員会の子ども実行委員長・鈴木恵里です。小学4年から不登校をして現在18歳です。

 私はこれまでフリースクールフェスティバルのりんごの木の出し物で委員長をやったりしましたが、今回、流れでなんとなく大きなイベントの実行委員長になってしまいプレッシャーを感じています。でも、将来への自信につながるのはまちがいないと思うので、楽しみながらがんばっていこうと思います。

 5月23日に行なわれる「20周年記念の会」では参加費を払って来ていただくので、みなさんが満足できるものにしたいと実行委員全員で張り切っています。外部の方にも、りんごの20年の歩みとともに、不登校への理解を深めてもらういい機会だと思っています。ふだん、なかなか聞くことのできない子どもやOG・OBの体験談、スタッフの話、りんごにまつわるクイズ大会など内容は盛りだくさんです。まだまだ不登校への風当たりは強いので「フリースクールでも立派に育つんだぞ!(笑)」「りんごのみんなはイキイキしているよっ!」などメッセージが発信できたらうれしいです。8月28日は、りんごの木音楽バンドによる演奏やOG・OB、親、スタッフなども出演できるステージ発表と自主映画上映会を無料で開催する予定です。

 そのほか、子どもたちで20周年記念誌をつくっているのですが、そちらも気合をいれて準備作業をしています。すべてを自分たちでデザインし、文章もまとめるので大変な作業ですが、自分たちが考えたことが一冊の本になるのでやりがいがあります。

 イベントも記念誌も予算的な問題で寄付集めなど難しいことがたくさんありますが、りんごの木の20年にふさわしいステキなものにしたいです。 (鈴木恵里)



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