不登校をめぐる1つの転換点となりうる動きが今、起きています。過去最多を更新した不登校について、永岡桂子文部科学大臣が発表した「総合的な不登校対策の3本柱」「不登校対策の検討にあたっての4つの方向性(目指す姿)」により、文科省や同省の専門家会議のみならず、こども家庭庁にもおよぶ新たな不登校対策が年度内に打ち出されようとしています。不登校対策は今後どう変わるのか、最新の動向です。
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不登校の児童生徒数が24万4940人と過去最多を更新したことを受け、永岡桂子文部科学大臣は1月31日、今年度内をめどに、総合的な不登校対策を取りまとめる方針を明らかにした。
不登校対策「3つの柱」
永岡文科大臣は「多くの子どもたちが学校の学びから置き去りにされているということは教育の根幹を揺るがす憂慮すべき課題」との認識を示し、総合的な不登校対策の中身について、①不登校特例校の設置促進、②不登校の兆候の早期発見・早期支援、③予防的な不登校対策の推進、という3つの柱を打ち出した。
①不登校特例校の設置促進については、これまで全国で21校(2023年3月現在)設置されており、文部科学省はすべての都道府県・政令指定都市に1校以上設置する方針を示していた。他方、次期教育振興基本計画(2023年度~2027年度)の策定をめぐり、中央教育審議会教育振興基本計画部会が2月7日に示した答申(素案)には「将来的には、不登校特例校への通学を希望する児童生徒が居住地によらずアクセスできるよう、全国で300校の設置を目指す」と明記。従来の方針を拡充させるかたちだ。
②不登校の兆候の早期発見・早期支援については、児童生徒がパソコン上で現在の気分など、心身の状態を入力。そのデータを分析するというもの。
③予防的な不登校対策の推進については、文科省の委託事業として、学校風土に関する研究があり、学校風土のよさと欠席日数について強い関連がある、との調査結果が出ている。学校風土は改善できる要因であるとの視点に立ち、すべての児童生徒が安心して学べる学校づくりを通じて、不登校の予防につなげるということが検討されている。
目指す姿 4つの方向性
2月14日に開催された「不登校に関する調査研究協力者会議」には、永岡文科大臣も出席し、冒頭で「不登校対策の検討にあたっての方向性(目指す姿)」について説明。①(高校生を含む)30万人の不登校の児童生徒すべての学びの場を確保し、学びを継続する、②心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する、③学校を「みんなが安心して学べる」場所にする、④「不登校」を科学的に把握する、という4つの方向性について意見を求めた。
同会議委員からは「フリースクールなど学校外の学びの場の質を担保することも重要である」、「そもそもSOSを出しづらい学校の体質を変えていかなければいけない」、「チーム学校というスローガンを掲げるだけでなく、予算を増やす政治判断が必要」、「不登校という状態のメリットについても科学的に把握する視点が重要ではないか」などの意見が出された。
今後について、文科省では、こども家庭庁との連携も踏まえ、年度内に実効性のある対策を取りまとめるとしている。(編集局・小熊広宣)
読者コメント
saya94353
一般公開 どんなことをしても、学校に合わない子は絶対に出てくる、そう...