不登校新聞

599号 2023/4/1

「自分のなかにいつも母が居た」 僕が不登校を通して自分の主張をできるようになるまで

2023年03月20日 15:50 by kito-shin
2023年03月20日 15:50 by kito-shin

 現在、システムエンジニアとして働く不登校経験者のゆうまさん(26歳)。ゆうまさんは不登校当時、親の「よかれによる支配」を受けていたと言います。しかし大人になったゆうまさんが壁にぶち当たったとき、突破するヒントをくれたのも、また親だったと言います。不登校を「自分の人生が大きく変わる経験だった」と捉えているゆうまさんに、体験談や親子関係についてお話しいただきました。

* * *

――ゆうまさんの経歴から教えてください。

 私は小中で不登校を経験したあと、通信制高校を経て大学へ進学し、新卒で就職しました。クライアントの要望を聞きながらシステム設計をしたり、システムの実行環境を整えたりするシステムエンジニアとして働いています。
 この職業を選んだのは学生時代にキャリアカウンセラーの方に勧められたからでした。「ゆうまさんは人の話を聞くことに長けているし、物事をルールに沿って整理する力もあるから、お客さんの要望を汲み取ってシステムをつくる仕事が向いているよ」と言われたんです。実際にその指摘は当たっていたようで、今の職場では顧客対応と技術の両面を評価していただいています。

ディズニーでもシステムに注目

 ちなみに、私は年間パスポートを買うほど「ディズニーリゾート」が好きなんですが、そこでもシステムに注目して楽しんでいるんです。「ここに柵があるからキャスト(スタッフ)がいなくてもきれいな列ができるんだな」とアトラクションを待つお客さんの並ばせ方を考察していて(笑)。仕事はお金を稼ぐためにやるものだと思っていますが、それでも興味のないことだと続きません。私はこの仕事を同じ会社で約4年続けられているので、やっぱり自分に合っているんでしょうね。

 ただ、「不登校関連の仕事をするのが天職だったんじゃないか」と悩んだ時期もありました。それは私にとって不登校が、自分の人生を深く考える転機だったからかもしれません。

――どのような不登校を経験されたのですか?

 私は小学3年生の3学期から不登校になりました。

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

同士がほしい 私が「さくらももこ展」と『不登校新聞』で気がついたこと

603号 2023/6/1

ゲームに飽きたら心が回復したサイン 不登校経験者から見た「ゲームと不登校」

602号 2023/5/15

「せめて運動だけでも」 親が心配しても不登校の子どもが動こうとしない理由

602号 2023/5/15

読者コメント

バックナンバー(もっと見る)

603号 2023/6/1

「お寿司最高かよ」。このキーワードを提唱したのは児童精神科病棟で働く「子どもの…

602号 2023/5/15

親が不登校について学ぶこと、親が元気になること、人に頼ること、そして子どもを信…

601号 2023/5/1

「本当のこと言っていい?不登校、なんとも思ってないだよね」。今号で創刊25周年…