2023年3月10日、千葉県で不登校の子どもを支援する条例が成立しました。その名も「千葉県不登校児童生徒の教育機会の確保を支援する条例」。自治体として、不登校支援に関する条例ができたのは全国初となります。条例の中身を解説するとともに、条例ができるまでの千葉県内の動きをふり返ります(※写真はイメージです)。
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千葉県議会で3月10日、「千葉県不登校児童生徒の教育機会の確保を支援する条例」が可決・成立した。県議会の最大会派である自民党が条例案を取りまとめ、県民からの意見を募集したのち、2月に超党派で提出した。県によると、不登校の子どもの教育機会を支援する条例の制定は全国で初めて。4月から施行される。
条例の基本理念として▼児童生徒の主体性を尊重すること▼登校できるようになることのみを目標とせず、将来の社会的自立を目指すこと▼多様な学習活動を認めて支援すること、などを掲げている。
条例では市町村・学校・フリースクール等の役割について定めている。市町村は「県と連携しつつ、当該市町村の状況に応じた施策の策定と実施に努めること」、学校は「児童生徒の状況の継続的な把握、児童生徒がフリースクール等を利用する場合には当該団体との連携に努めること」などが定められた。
フリースクール等の役割については「社会的自立に資するよう、情報提供ならびに相談の実施および助言を行なうよう努めること」などが定められた。
財政措置は 県の努力義務
県については、「千葉県不登校児童生徒支援連絡協議会」を設置することを定めた。同連絡協議会は、県および市町村教育委員会・学校・保護者・フリースクール等・学識経験者などの関係者によって組織され、児童生徒の教育機会の確保に関する施策を円滑に実施するための連絡および協議を行なうという。
また、財政措置については「県は、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努める」という努力義務にとどまった。
市民・議会・行政 三者の連携
千葉県において、不登校支援を条例化する動きは2017年にさかのぼる。2017年9月にフリースクールや親の会など7団体が連携し「千葉県フリースクール等ネットワーク」が発足。2018年3月には「千葉県議会フリースクール等教育機会確保議員連盟」が発足し、条例づくりをテーマにシンポジウムを開催するなど、市民・県議会・教育委員会の三者間での連携がすすめられてきた。
「千葉県フリースクール等ネットワーク」代表・前北海さんは「教育機会確保法ができて7年、ようやく自治体で条例をつくるという動きが実を結んだ」と語る。他方で、前北さんは「経済的支援を求めて活動してきたが、今回の条例でも財政措置は県の努力義務になってしまった。ここから具体的な支援策にどうつなげていくかが今後の課題」と指摘する。
千葉県教育委員会によると、県内の不登校児童生徒数は9年連続で増加しており、21年度は9951人(小学生3583人、中学生6368人)だった。なかでも小学生の増加が顕著で、直近10年で約4倍に増加している。(編集局・小熊広宣)
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