自分の部屋の汚さについて、誰しも一度は語り合ったことがあるだろう。えてして、「汚い部屋自慢」にもなりやすいが、上には上がいるということも忘れてはならない。そこで、一般的な既成概念をぶち壊す部屋を探訪し、「私の部屋なんてまだまだ」と、読者をいつもとちがう角度からエンパワメントする企画を考えた。ただ「汚い部屋」というのはあまりにひびきが悪い。そこで、私たちはこう呼ぶことにした、「ワンダールーム」と――。

飛び交う孔雀、箸が進まぬ蕎麦


 「じゃあ今日、うちに来ますか」。子ども若者編集会議で出た企画「突撃!!となりのワンダールーム!!」について、編集部員のTさんがみずから名乗り出た。Tさんはたくさんの動物を飼っていることで、子ども若者編集部内では有名。「ちょうど今日、新しい子が来たんで」という一言につられ、興味半分、怖いもの見たさ半分のなか、編集会議終了後におじゃますることにした。道中、取材に際してTさんからいくつかの注意があった。「どんな状態でも、家主は『汚い』と言われると多少なりとも傷つくので、『汚い』と言うのはNG」、「朝、死臭がしたので、死んでる動物がいたら教えてほしい」、「ケージの中などを見て、飲み水が切れてたら教えてほしい」などなど。う~む、本当に女性の一人暮らしの部屋なのか。

 さて、そうこうしているうちに到着。駅からほど近い、ごくふつうのアパート。ドアの前が散らかっているということもない。ちなみに、この部屋に親以外の人が立ちいるのは初めてらしい。部屋に入る前に「部屋に入れる状態か確認したい」ということで、Tさんがまず先に入ることに。すると、「うわぁ…」という、玄関を開けた瞬間のTさんの第一声は、扉の開閉とともにかき消された。室内はそうとうワンダーなことになってるようだ。5分後、TさんからGOサインが出た。魔界に出かけるような気分だったが、意をけっして先陣を切って部屋に入る。入るなり、まず最初に対面したのがフクロウ。その前にはエサの死んだネズミ。私とフクロウのあいだには仕切りなど何もない。すぐにも飛びかかってきそうな近さだ。玄関脇に台所があるが、ハツカネズミなどの大量のゲージで埋まっており、ほぼ使用不可。冷蔵庫は5センチしか開かない。Tさんの「一応、靴下を脱いだほうがいいですよ」という一言に、動物園の檻のなかに入った気分になる。

 いざ、部屋に入るとそこにいたのはノートパソコンのうえにとどまる、孔雀。今年で一番シュールな光景だった。もう一度言おう。ノートパソコンのうえに、孔雀。そんな状況、見たことあります? 

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