2002年9月に文科省が設置した「不登校問題に関する調査研究協力者会議」は、2003年3月に最終答申が出され、4月から、その答申にそって不登校対策が行なわれることになった。その内容はくわしく紹介したが、一言で言うと、「学校復帰へ何らかの働きかけをせよ」であった。「自立に向けての支援」という言葉もあったが、よく読むと、「自立のためにも学校復帰が大事」という主旨であった。
市民側も10年前の協力者会議のときには考えられないほどさまざまな声をあげ、声を届けるなどした。しかし、一部は取りあげられたが、本質は変わらなかった。たとえば、子どもの権利条約にある「最善の利益に立って考えられるべき」という言葉は市民側が要求し、そのためかどうかわからないが、最終報告書には盛り込まれた。
盛り込まれたのだから、すごい前進だと思うが、「最善の利益」というなら、不登校の対応において、子どもに「学校復帰を目指させる」という方針自体が、矛盾する。それを、朝日新聞の氏岡記者が、はっきりと指摘した解説記事を書いてくださったときは胸のすく思いがした。だが、当の文科省は、矛盾と思うも思わないもなく、現場においては平然と学校復帰への働きかけは強まっていくのである。
だいたい、こういった答申が出るときは、出てから始まるのではなく、状況が先取りして動いているものである。
読者コメント