全国各地で活動する「不登校の親の会」が加盟するNPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネットワークが5月8日、文部科学省で記者会見を開き、不登校の子どもを持つ親640人に行なったアンケート調査結果を公表しました。調査によると、不登校をきっかけに、3割の家庭で世帯収入が減っていることがわかりました。他方、約4割の家庭で支出が増えたという結果が出ています。不登校の子どもを持つ家庭の実情や親の変化について調査した結果を本紙記者が解説します(※写真は全国ネット共同代表・中村みちよさん)。
* * *
全国ネットは、不登校の子どもを持つ親640人にアンケート調査を実施。不登校をきっかけとした世帯収入の変化について、「減った」と答えた割合は31・0%だった。収入減にも関連する親の働き方の変化の内訳は、「早退・遅刻が増えた」が25・6%、「休みがちになった」が18・3%、「退職した」が13・3%だった。
全国ネットの中村みちよ共同代表は「近年は小学生の不登校も増えており、子どもの面倒を見るため、親の働き方を変えざるを得ない現実がある」と指摘する。
一方、「支出が増えた」と答えた割合は39・8%だった。おもな内訳として「食費(給食費代わり)」が68・1%、「フリースクールなどの会費」が39・8%、「通院・カウンセリング費」が35・5%と続いた。「支出に変化なし」と答えた割合は8・8%にとどまっており、世帯収入が減る一方で、支出が増えている家庭の実状が調査結果からうかがえる。
自分を責めた 孤独感・孤立感
全国ネットの調査では、不登校をきっかけとした親の変化についても調査している。親の変化でもっとも多かったのは「学校や社会への考え方や価値観が変わった」が82・5%である一方、「自分を責めた」(66・7%)、「孤独感、孤立感」(53・1%)、「家族関係の悪化」(26・4%)など、親自身もつらい状況に置かれていることがわかる。
本調査では、不登校の子どもがおもにすごしている場として「自宅」と答えた割合が91・3%と突出している。そうしたなか、親はどのような支援を必要としているのか。もっとも多かったのは「子どもと親が学校以外で安心できる場や人とつながれる」が80・5%であり、「学校の柔軟な対応」(76・9%)、「情報提供(フリースクールや親の会など)」(70・9%)、「経済的な支援」(68・0%)と続いた。
調査結果をふまえ、中村みちよ共同代表は「一番は、子どもたち、親たちが選択できる居場所、学び場の確保というところを、経済的な支援とともに、ぜひお願いできたらいいかなと思います」と語った。(編集局・小熊広宣)
読者コメント