◎連載「隣る人」第2回
「いじめ」というと、多くの場合、子どもたちの学校生活などでのことを指すと思いますが、大人社会でもけっして少なくないと思います。ただ子どものいじめと大人のそれとの大きなちがいは、大人には逃げ場があることが多いということだと思います。近年人間関係の不適応で職場を転々とする若者が増えていると聞きます。状況にもよるでしょうが、大人はいじめならずとも居心地が悪ければほかへ移ることが可能ですが、子どもは学校でいじめを受けた際、自分だけの力でほかへ移ることが不可能なことを感じてがまんしながらあきらめることしかできないのだと思います。
そしてそれは施設に入所している子どもたちにとっても似たような状況があります。施設入所する子どもたちは児童相談所の判断により家族と別れて一時保護され、最終的に施設へ入所することになります。家族と別れて施設で生活することを自ら望む子などいるはずはないのですが、そこに子どもの意思が入る余地はほとんどありません。一方で施設の職員は、自ら望んで施設職員となっておきながら自分の都合でいつでも辞めることが可能です。いやむしろそれらが社会的に保障されており、子どもとは立場(土俵)からしてまったくちがうのです。
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