渡辺位さんは「不登校はいのちと近代文明の闘い」だと言った。いのちとはなにか、近代文明とはなにか、それは『Fonte』が原点とする"問い”だ。その問いはあまりに巨大なのだが、一歩ずつ考えていきたい。この連載は、そうした思いから始まった。連載のなかで、異論を感じる点があるかもしれない。ぜひ、忌憚のない声をいただきたい。第1回は社会学者・立岩真也さんのインタビュー。テーマは「尊厳死・安楽死」について。
――尊厳死はいつから問題になったのでしょうか?
病気を苦にした自殺・自死がいつ始まったか、といえば、それは古いには古いでしょう。病も昔からあるし、自殺も昔からできますし。ただ、日本で立法化が前面に出てきたのは1970年代の後半からです。76年、日本安楽死協会(現・日本尊厳死協会)が設立され、いわゆる「尊厳死法案」が提出されました。法案は国会で廃案となりましたが、その25年後の03年にも「尊厳死に関する法律案要綱」が、日本尊厳死協会から発表されました。この問題にまつわる詳細については『良い死』『唯の生』(筑摩書房)でくわしく書いています。私は基本的に尊厳死法に反対する立場にいます。
――尊厳死について考えると、死ぬ間際に「苦痛」が長引くのはよくないのでは?
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