2011年6月9日、愛知県・刈谷工業高校野球部員の山田恭平くん(当時16歳)が自殺した。経緯・背景を調べていた第三者調査委員会は今年2月4日、最終報告書をまとめ、自殺の背景に家庭問題を挙げた学校の調査を「不十分」だと問題視。「体罰のある部活を辞めたくても辞められないという二律背反に悩み、自殺するしかないと思い込むまでに追いつめられていた」と指摘した。
第三者調査委員会(以下・調査委)は恭平くんが自殺要因・背景を分析。恭平くんは部活や勉強に真摯に打ち込む律儀な性格で、部活を辞めるには中途半端な理由ではなく、筋が通った理由がないといけないと考えていた。しかし、体罰がある部活の雰囲気などに嫌気がさし、中間試験では成績を落とし、周囲の期待に応えようとするもうまくいかない自分を責めていた。そこにさらなる体罰を目撃し、しだいに意欲の減退、身体症状など、うつ病と思われる症状が発症。うつ病は「追い詰められた結果、その人間に固有の生き方が不可能になって発症する疾患」だと報告書は指摘する。恭平くん本人の気持ちに寄り添った方向性が示されなかったことが、葛藤の母体となり、体罰が横行する部活が契機になって自殺へと追い詰められていったと指摘した。
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