不登校新聞

269号(2009.7.1)

人生の道標、北極星 石川憲彦

2014年02月26日 16:24 by nakajima_


 「生き物としての子どもが、生き物としての原則に沿って育つという、子ども自身の自然が歪められ壊されていっている」。

 渡辺さんが84年に著された、『児童精神科』の一節です。日本の子どもたちが――そしてそれゆえ大人たちも――苦しむ現況を、渡辺さんは「生き物としての不自然さにある」と看破されました。そして、人間の自然と生き物の原則をとりもどしていく希望は、治療にではなく共生にあることを、医療を超え、自らの生き様を通して生涯、示し続けてこられました。

 第二次世界大戦の爪あとがまだ生々しく残る1950年代、一直線に、貧困のなかの共存から、強欲のための競争への道を歩み始めた日本に、アメリカから児童精神医学が導入されたのは、渡辺さんが医師になられた翌年でした。欧米にもまだ教科書すらない時代で、「自閉症」「学校恐怖症」など初めて聞く障害名に、医師も患者も戸惑いを覚え、誰でも対等な立場で意見を交換し議論できる場として、児童精神医学懇話会が誕生します。関東の拠点となったのは、都立梅が丘病院と国立国府台病院児童病棟(現・国立国際医療センター国府台病院児童精神科)でした。私が小児科医になったとき、渡辺さんは、後者の医長という要職にあり、日本の児童精神科を先導する一人でした。
この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

【公開】静かな革命 奥地圭子

269号(2009.7.1)

あるがままとは 森英俊

269号(2009.7.1)

強烈な問い 胡麻崎ゆう子

269号(2009.7.1)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

480号 2018/4/15

伊是名夏子さんには生まれつき骨が弱く骨折しやすい病気を持っている。しかし「...

479号 2018/4/1

中学校には1日も通っていません。25歳のときに生協に就職し、今は生協関連の...

478号 2018/3/15

「ここに名前を書いて印鑑を押せば、息が苦しくなる校門をくぐらなくてすむ、つ...