渡辺位さんの訃報に接し、謹んで哀悼の意を表し、渡辺さんから教えていただいたいくつかの思い出を書いておきたいと思います。渡辺位さんの名前を知ったのは、鳥取タンポポの会(不登校の子と親の会)が発足した1993年より前のことで、私が鳥取市郊外で診療所を開業して、不登校の子どもや親たちの相談を受けるようになったころのことです。
最初は本屋で『登校拒否・学校に行かないで生きる』(太郎次郎社刊)を手にして、渡辺さんが千葉県の国立国府台病院の精神科医であり、児童精神医療を担当しておられ、希望会という登校拒否の子どもを持つ親の会があることなどを知りました。また渡辺さんが登校拒否というのは異常なことでも病的なことでもなく、ゆがんだ学校教育の状況のなかで、子どもが自身を守るために無意識にとる反応であるという趣旨の論文を1950年代から精神医学雑誌に書いておられたことも知りました。
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