09年4月26日、東京しごとセンターにて全国不登校新聞社春の集い「発達障害を考える」を開催した。当日は不登校や精神障害のお子さんを持つ親の方や医師、介助員、教員など130名が参加した。1面と6面に精神科医・高岡健さんの講演抄録を掲載する。

 今日は発達障害・自閉症を考えるために、知的障害の歴史からお話ししたいと思います。

 知的障害というのは日本の行政用語で、世界的には「精神遅滞」と呼ばれています。知的障害と思われる人は大昔からいたと思いますが、こうした病名が「発見」されたのは1890年代。これは精神医学全般に言えることですが、それほど歴史はありません。

 知的障害が発見された1890年代は、軽工業から重工業に切り替わった時期です。それはつまり、重工業で働ける人か、働けない人か、このあいだに太い線が引かれたことを意味します。いまでいう統合失調症や重度の知的障害者は働けないために、社会から排除され隔離収容されていきました。これが知的障害における精神医学の始まりで、「分類・収容の時代」と呼ばれています。

 次の転換期は第二次世界大戦が終わった1950年代。50年代になると人々の眼差しは重度だけでなく中程度の人にも注がれるようになりました。というのも1890年代よりも社会が複雑化し、仕事内容も重工業のときのように単純作業ばかりではなくなったからです。この時代は「研究と治療の時代」と言われ、脳、血液、染色体の研究が盛んになり、意味のない治療も多く行なわれた時代でした。

 治療からサポートの時代へ

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