不登校または高校中退した者への追跡調査結果を内閣府が発表した。不登校の追跡調査は10年ぶり、高校中退の追跡調査は13年ぶりで注目されたが、アンケート依頼者2078名中277名しか回答がなかった。
調査対象者は2004年度に中学校を不登校、または高校中退した者。現在20歳から23歳の277人(高校中退168人、不登校109人)。
調査結果によると、進路状況は、就労者50・5%(140人)、高校や大学へ通っている就学者は28・1%(78人)、主婦・家事手伝いなどの「その他」10・8%(30人)、ニート10・4%(29人)だった。就労者の内訳を見ると、正規雇用者は34・2%(48人)、アルバイトや派遣などの非正規雇用者は56・4%(79人)。
単純比較はできないが、総務省がとりまとめた2007年度の就業構造基本調査によれば、20歳~24歳のすべての者の就労者の割合は67・4%。このうち正規雇用は55・4%、非正規雇用は41・7%だった。
追跡調査では中退理由と不登校のきっかけも調査している(複数回答)。不登校のきっかけとして回答がもっとも多かったのは「いじめなど友人関係のもつれ」45・9%だった。
不登校のきっかけや中退理由は、毎年、文科省も「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」で発表しているが、教員による記述をもとにした統計のため、信頼性を疑う声もあがっていた。追跡調査は複数回答で、文科省の統計は単数回答であるなど、単純比較はできないが、2004年度の文科省調査と比べてみると、大きな開きがうまれたのが、「学業不振」34・9%(7・2%)、「先生との関係」24・8%(1・5%)、「入学・転入の際になじめなかった」21・1%(3・1%)、「部活動での問題」17・4%(1・3%)などであった(本文が追跡調査結果、カッコ内が文科省統計)。
同様に高校中退理由を追跡調査と文科省統計を比べると、「高校生活の不適応」49・4%(38・8%)、学業不振20・8%(7・3%)、進路変更11・9%(33・2%)。ここでも本人の意識と教員の認識がズレた可能性が見受けられた。
内閣府は追跡調査の結果については、回答者数の少なさと地域が限定されたことから「有意性が求められるものではない点に留意が必要」だと注意を促している。
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