今回は、石川良子さん。ひきこもりの会の世話人も務める石川さんは「いまこそ、ひきこもりを再考すべき」と語る。ひきこもりの現状や今後についてうかがった。
――ひきこもりの問題に取り組むいきさつは?
私自身、ひきこもりの経験があるわけではないのですが、ひきこもりにシンパシーを感じたのが、そもそもの始まりでした。ひきこもりが注目され始めた2000年ごろ、私は大学卒業後の進路に悩んでいました。この先どうするか、と考えながらもまったく就職活動に身が入らず、身も心もモヤモヤしていました。
ちょうどそのころ、ひきこもりの存在を知ったんですね。「この人たちの何が問題なのか」と疑問を抱くと同時に、「ひきこもりの問題は私のいまと通じる部分がある」と感じました。その後は、運よく大学院に滑り込むことができたので、当事者に会い、話を聴くことを通して考えを深めたいと思うようになったのが始まりです。
――ひきこもりの現状について、どのように見られていますか?
斎藤環さんの著書『社会的ひきこもり』から10年がすぎ、この問題も一周したのかな、という気はしています。当初、「ひきこもりってなんだ?」ということで、社会の注目が大きく集まるなか、「人と関われずに、閉じこもっている人たち」というかたちで、ネガティブなイメージが一気に拡がりました。そのうち、当事者どうしの自助グループや居場所ができるなかで、他者と関われるようになる当事者の方が少しずつ増えていくなどし、ひきこもり当事者への厳しいまなざしも少しずつ和らいでいく感がありました。
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