登校拒否を考える会が2月16日、学習会「ひきこもり等の世帯の生活設計」を開催した。ひきこもり世帯のまま、どう生涯設計を立て、どんな制度が活用できるのか。ファイナンシャルプランナーとして相談を受けてきた浜田裕也さんが講演を行なった。浜田さんが提唱する「あいまいな不安をはっきりとさせ、家族で覚悟を決めていく」ための「サバイバルプラン」とはどんなものなのだろうか。
みなさん、おはようございます。社会保険労務士およびファイナンシャルプランナーの浜田と申します。今日は「ひきこもり世帯の生活設計」をテーマにお話をさせていただきます。
じつは私の弟もひきこもりです。生まれながらの障害もあり、社会との交流をほとんど断っている状態です。いろいろと調べていくうちに弟と同様に苦しんでいる方がとても多いことがわかりました。そこで自分の資格や仕事経験を活かして、何かできないかと思い、現在の浜田サバイバルプラン事務所を立ち上げました。私のところで相談される方の多くは親御さんが50代~70代、お子さんは30代後半~50代です。
私の仕事は一生働けないことを前提に生涯設計を立てることです。ここで一点、付け加えたいのは、私が「ひきこもりの方は一生働けない」と言っているわけではないということです。働きたいという本人の気持ちを無視したいわけでもありません。あくまで「働けない」を「前提」とするだけです。
サバイバルプラン 覚悟を決めるため
なぜそんなことを考えるかと言えば、働けない状況が続くと、「親が死んだら……」「住まいは……」など、いろんな不安が湧き上がってきます。
こういう「あいまいな不安」を「はっきりとした不安」にし、現実的に準備をすすめるためです。不安なことが現実になるまでに時間があります。やるべき準備もたくさんあります。具体的な危機に対する計画を「サバイバルプラン」と私は呼んでいます。
もちろん、私に任せていただければすべて大丈夫ということではありません。またメンタルの専門家ではないので、お子さんの精神症状を軽減させることもできません。ただ、いっしょに今後の生活を模索していく一人としてご相談に乗っています。
では、生涯設計を立てる前に活用できる公的制度を紹介します。
ご紹介したい公的制度は、①自立支援医療(精神通院)、②精神保健福祉手帳、③障がい者センター、④障がい年金、⑤国民年金の免除制度の5つです。
①自立支援医療は申請すると通院時の精神医療費が通常の3割負担から1割負担に減る制度です。②精神保健福祉手帳と③障がい者センターは、ひきこもりからの就労に必要な制度だと考えてください。④障がい年金は月6万4400円の年金が受けられる制度、⑤国民年金の免除制度は世帯収入によって保険料を免除してもらえる制度です(詳細は、ひきこもり世帯に役立つ公的制度を参照)。
これら支援制度を視野に入れつつ、私のおもな仕事である「生活設計(サバイバルプラン)」についてお話したいと思います。
読者コメント