不登校新聞

261号(2009.3.1)

第261回 「抑圧」へ向かう時代

2014年04月17日 13:02 by 匿名
2014年04月17日 13:02 by 匿名

連載「不登校の歴史」


 98年に起きた栃木県の中学生ナイフ刺殺事件。その背景には、登校拒否の児童生徒への問題な対応があり、この対応こそ彼を追いつめた。しかし、この点は、マスコミでも公の場でもほとんど取り上げられなかった。不登校の子がどんな対応なら追いつめられるのか、親の会や居場所、フリースクール関係者のなかでは、自明の話として語られている。しかし、事件が起きて、子どもから「苦しい」というサインが発信されても、社会は肝心の子どもの立場に立つことはなかった。現在の認識・対応、その基となる学校復帰政策が見直されることはなかった。

 いや、流れは反対向きに向かったと言ってよい。栃木事件の前年の99年、神戸児童連続殺人事件が起きる。事件の犯人が少年であったことは社会にショックを与えた。さらにその翌年の00年には新潟監禁事件。ひきこもりだった青年が少女を8年間も軟禁していた事件だ。さらに同じ年の5月には、西鉄バスジャック事件が起きた。こうした一連の事件によって、社会的には「いまの少年たちは何をするかわからない」という不安が醸し出された。そして、彼らの背景や気持ちを探ることよりも、厳しく取り締まることを期待される方向へと向かっていった。
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