今回、お話をうかがったのはスクールソーシャルワーカーの竹村睦子さん。実践例を踏まえながら、ソーシャルワークの仕事についてうかがった。

――スクールソーシャルワーカーは、どんな仕事をするのでしょうか?
 ソーシャルワーカーの仕事は聞き取りから始まります。さまざまなかたちで子どもたちは困難を抱え、それを表現します。その困難というのは「環境との不適合である」と考えるのがワーカーの視点です。けっして子ども自身に問題がある、という見方はしません。環境が変化すれば子どものつらさは軽減されるという考え方から、不適合が起きている環境に働きかけるというのがワーカーのアプローチです。

――環境に働きかけるというのは、どういうことですか?
 家庭で育つ子どもたち、いわゆるホームスクーリングの子どもに関わる場合、まずは「不登校でいいんだ」ということを伝えます。いまいる場所が楽なのであれば「その場所があなたにとって『ちょうど』なんだ」と。

 そして焦らずにじっくり信頼関係を築いていくうちに、彼らが抱える本当のつらさを聞くことができます。自分の気持ちを最初から打ち明けられる子に会ったことなど一度もありません。まずは何度か出会っていくうちに、子どもから話ができる相手として「選ばれる」必要があります。

 関係を築くプロセスとしては、学校に行かないことで「勉強が追いつけなくなる」という不安感を話してくれる子どもは、わりと多いのですが、その場合は、まずは、いっしょに勉強をすることから始めます。そうすると、私という存在は彼らにとって「ただ会いに来る人」という関係から「勉強をいっしょにする人」という関係に変わります。直接的なつながりではなく「勉強」を通した三角形のつながりが生まれると子どもに安心感が広がり、本当につらいと思っていることを子どもから聞けるようになる気がします。本当は勉強に不安を抱えているのではなく、家にいても安心できないとか、親との関係で困っているとか、そうした本音のようなことばが子どもからこぼれ落ちるようになります。

――具体的な例だと?

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