連載「渡辺位さんの言葉」

 この連載は児童精神科医・渡辺位さんが亡くなる直前まで関わっていた「親ゼミ」受講生の親の方が執筆するコーナー。不登校運動の源流になっていった渡辺位さんの言葉は、どんなものだったのだろうか。
 
■「親ゼミ」情報
日 時 第2木曜日(月1回)、午後2時~5時
場 所 東京シューレ(東京都北区岸町1-9-19/「王子」駅より徒歩5分)
参加費 1回1030円(4回1セット)
連絡先 03-5993-3135

 
 17年前、不登校になり、強迫神経症や家庭内暴力があった息子が元気になり、平和になった生活のなかでついつい「こうなってほしい」という要求が私のなかに出てくることがありました。そんなときの私の心のありようは、常識・多数の場合というものと比較しているときです。「ちがう、比較することや要求することではない。ただただ生きてることに敬意を表すればいいのだ」と自分の思いを修正します。こうしてその都度、修正できるのは、渡辺先生の言葉を思い出すからです。
 
 渡辺先生の言葉……たくさんあるのですが、そのなかでも「命している」です。この言葉は、子どもへのまなざしの根本から思い直させてくれる言葉です。「命している」、肯定感に満ちていて、素敵な言葉だといつも思うのです。
 
 強迫神経症の息子に付き合うことがとてもたいへんで、「この状態をどうにかしたい」「ふつうの状態になってほしい」と願っていた時期に、渡辺先生は「常識とか理屈とか世間体と、目の前で生の命を営んでいる子ども、生の存在としての子どもとどちらが大切なのか、問い直してみることが必要でしょう。神経症も生の現実の表現でしょう。命しているということでしょう。そこをよく考えてみることです」と。


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