不登校新聞

387号 (2014.6.1)

強迫性障害きっかけに不登校 作家・澤宮優

2014年05月30日 16:54 by kito-shin

写真左から、月乃光司さん、澤宮優さん、田子つぐみさん

 「こわれ者の祭典」の月乃光司さんがプロデュースする「生き方サンプル」第2弾。今回のゲストは、ノンフィクション作家であり、不登校経験者の澤宮優さん。聞き手は不登校経験者の月乃さんと田子つぐみさん。

月乃光司さん(以下・月乃) 澤宮さんも不登校経験があると聞きましたが?

澤宮優さん(以下・澤宮) 僕が不登校だったのは高校2年~3年生のときです。予備校でも不登校でしたから、2年間くらいになります。
 
月乃 きっかけはなんだったのでしょうか?

澤宮 強迫性障害です。小学校5年生ぐらいから症状が見え始め、中学生では神仏恐怖に悩まされました。僕の神仏恐怖はお地蔵さんや仏さんを見ると手を合わさずにはいられない。遺影を見ると「死んで、ざまあみろ」と罵倒する気持ちと「そんな酷いこと言ってすみませんでした」というやり取りが頭のなかでくり返され、日常生活に支障が出てしまいました。

月乃 すごくよくわかります。私も自分の唇を舐めるクセがあり、それが気になって頭のなかがいっぱいになっていましたから。

澤宮 いまならば強迫性障害という症状だとわかるんですが、当時はそんな病名、聞いたこともなかったです。自分は"キチガイ”だと本気で悩みました。そんな苦しい自分を支えていたのは考古学でした。「いずれは研究者に」という夢が当時の私を支えてくれました。中学時代は何とか踏ん張っていましたが、高校では強迫性障害がさらに強まり、視線恐怖がひどくて、友だちもできずに劣等生になりました。そのころはホントに地獄でした。

 

どう死のうか…

 
月乃 不登校直後はどんな感じでしたか?

澤宮 最初のころは、駅のベンチに座っていたり、川べりを歩いたり、時間をつぶしていました。とにかく学校が怖かった。親にはすぐばれて、いろいろと言ってきましたが、自分としては「どうやって自殺しようか」と思うようになり、そんな気持ちで布団にひきこもるようになりました。

月乃 お話を聞くと澤宮さんの気持ちに寄り添ってくれる人がいませんね。

澤宮 いまふり返っても八方ふさがりだったと思います。のちに私の尊敬する文芸評論家・佐古純一郎先生から指摘されたのが「人は孤独な存在だが、ひとりぼっちでは生きていけない」ということです。自分のなかにいくら求めても生きる意味は出てこない。人と人のあいだに充実した交わりができたときに人は生きる意味を見出していくと教えられました。だから人間は「人と人のあいだ」と読むんだと教えられたんです。ひとり(孤独)と、ひとりぼっち(孤立)は、ちがうんだよと。当時の私はひとりぼっちで生きる意味を見いだせない時期でした。

月乃 そんななか転機はありましたか?

澤宮 高校3年生での担任の先生との出会いです。地理の先生でした。始業式から数日後、先生が自宅に来られて考古学書に埋もれた僕の本棚を見られて「こりゃ学者の卵じゃないか!」と言ってくださったんです。そして「将来、考古学者になったとき、あなたが考古学担当、僕が地理担当で、熊本県の百科事典をつくるときがきっと来るね」と。先生は考古学にもくわしかったのです。学校の先生から褒められたのは、これが初めてでした。


 

父親への嫌悪

 
田子つぐみ(以下・田子) 先生が家に来るのはイヤじゃなかったですか?

澤宮 最初は緊張しましたが、先生は「なにか悩みがあればなんでも相談においで」とおっしゃいました。その後も、僕の生きる意味とか、そういう問いかけに何時間でも、付き合ってくださいました。口先だけの「がんばれ」ではなくて、本当に僕を助けたいという真剣な気持ちが伝わってきました。その後も、学校を休むたびに、何度も家に来てくださいましたから。

田子 それでも不登校は続いたんですよね?

澤宮 やっぱり心が傷ついていましたので、周囲の何気ない一言に敏感に反応し、何日も休みました。ふたたび先生が家に来られ、また登校するのくり返しでした。

月乃 次にお聞きしたいのが父親との関係です。澤宮さんのお父さんはどんな人だったのでしょうか?

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