連載「不登校の歴史」
2010年7月、東京シューレ25周年祭が開かれた翌月、フリースクールに絡んだ事件が東京で起こった。筆者もいろいろ調べた事件である。
8月22日、品川区で火事があり、直後に16歳の女子高生が近くの交番に出頭し「自宅に火をつけた」と話したのだ。自宅には「家族がいることがわかって放火した」と言い、父親は大やけどの重傷、母親はのどに軽傷を負った。なぜ、そんなことをしたのか。
この女子高生は、S県の寄宿型フリースクールに預けられていた。夏休みだから自宅に戻っていたが、2学期が始まるので、8月22日に母親が車で送ることになっていたのである。しかし、女子高生はフリースクールに戻るのがイヤだったと警察に話している。8月22日の前夜、家に帰ってこなかった。朝帰りをした娘に、父親は激怒、朝食も促したが、拒否したため、「ちゃんと正しい生活を送りなさい」と強く叱責したという。その直後、彼女は自宅にあった段ボールに火をつけ、火はまたたく間に燃え上がったのだった。警察の調べで本人は「家族は死んでもよかった」と述べたこともあり、彼女は殺人未遂、建造物放火の疑いで逮捕されたのだった。
そんなにイヤだったのなら、フリースクールに戻させるべきではなかった。前夜帰宅していない、朝食拒否、いやと言っている、それだけでも、子どもの気持ちを考えて、親は強引に送るべきではなかった。そもそも、フリースクールは無理に通わせるところではない。子どもやフリースクールと相談すればよかった。
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