連載「不登校の歴史」
そのころ、つまり、2010年夏ごろの政治や社会の状況はどうだったのだろうか。
前年8月、民主党が衆院選挙で歴史的勝利をし、9月鳩山内閣が生まれ、事業仕分けや子ども手当、高校無償化など話題を呼んだが、迷走内閣との批判も受け、2010年6月には、菅内閣が誕生していた。そして、7月には参院選があり、政権交代後、民主党は与党として初の大型選挙を迎え、国民は、一時的に民主党に「待った」をかけた状態といってもよく、国民新党と合わせても過半数は取れなかった。
不登校やフリースクールの問題に関心が高く、市民活動に協力的だった民主党の政権に期待しつつも、大枠の転換が落ち着かないなか、不登校について政府に持ち出しにくく、フリースクール議連も開かれず、時がすぎていくことになった。
7月、厚労省は「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」を発表した。これは、07年から09年までに、ひきこもりの背景にある精神障害の実態調査をもとにしている。全国5カ所の精神保健福祉センターに、ひきこもり相談に訪れた、16歳から35歳の184人が対象となっている。
調査の結果、そのうち精神障害が149人(81%)。それをさらに分類し、①「統合失調などがあり、薬物療法必要」は49人(33%)、②「発達障害など、生活・就労支援が必要」は48人(32%)、③「パーソナリティ障害など、心理療法思念が必要」は51人(34%)とした。
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