毎年50万人以上が参加する同人誌即売会「コミックマーケット」(通称・コミケ)。コミケとはどんな理念を持って運営されているのか。共同代表の一人、安田かほるさんに子ども編集部が話をうかがった。
――コミックマーケットが誕生した経緯は?
自分がつくったものを知らない誰かに見てもらいたい。そういう人たちのための場をつくりたいというのが、きっかけです。当時はプロの敷居が高かったですからね。
それとコミケを設立した人たちは「マンガ界に風穴を開けたい」と考えていました。当時のオイルショックの影響で雑誌が薄くなり売れる作品しか掲載されなくなったり、それまで開かれていた漫画大会に不満があったり、そういうマンガ事情に対してムーブメントを起こしたい、と。そう考えていたと聞いています。
――第1回目のコミケはどんなようすでしたか?
私が参加したのは第2回目からですが、第1回目は1975年の12月21日。参加者は推定700人、サークル数は32団体。前回のコミケが参加者数55万人ですから、規模自体は小さなものです。ただし、当時は「こんなに人が集まるのか」と主催者側はおどろいたそうです。いまと比較すると、参加者のほとんどが少女マンガファンの女の子たちだというのもちがいますね。いまは男女比がだいたい男性4割、女性6割ぐらいですから。当時、萩尾望都さんや竹宮惠子さんといった「花の24年組」と言われた作家が人気だったことも影響があったでしょう。
――はじめてコミケに参加されたときの印象は?
3回目から私も作品を持って参加したんですね。もちろん私だけの作品じゃないですよ。当時は冊子をつくるのが高くて数人が集まらないとダメでしたし、コピーも1枚50円の時代ですからね、一人ではとても(笑)。
はじめて参加したときのことはよく覚えています。私のまわりにもマンガの好きな人はいましたが、コミケに参加しているみんなはレベルが高い。当時のコミケは創作マンガと評論がメインで、パロディーは主流じゃなかったんです。一日中、マンガへの見識の深くて気持ちのある人と話せるのはホントに楽しかったです。
――現在、コミケはどのように運営されているのでしょうか?
コミケを開くための準備から運営までを任意団体「コミックマーケット準備会」が担っています。
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