10周年座談会は、異論反論含め、さまざまなご意見をいただいた。企画発案者であり司会を務めた立場として、この座談会について私も意見を述べておきたい。
座談会における一番の論点は、「選択」をめぐる問題だろう。小沢牧子さんは選択肢の多様性は消費社会の論理でしかないとし、むしろ公立学校における「選べない場の多様性」こそ重要だと説いた。一方、奥地圭子さんは教育が画一的で上からのお仕着せであることと、学校が居場所でなくなったことはつながっていると見ている。だから、子どもが主体で学べる場を公教育のなかに位置づけさせ、子どもが選択できるようにすることが必要だという意見だ。そして、それを実践している。
ここは重要な論点だ。フリースクールのような学校ができれば、それ自体はすばらしいことかもしれない。しかし、それが選択肢になることで、これまでの学校のあり方は変わるだろうか? また、教育は、将来への期待や幻想を背負いこんだ商品と化してしまいやすい。そういう判断から「選択」されてしまうのでは、芹沢俊介さんの言う「教育家族の解体」からは後退してしまう。
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