不登校新聞

245号(2008.7.1)

“今”を笑えたら、それで 北村年子

2014年09月11日 13:26 by 匿名
2014年09月11日 13:26 by 匿名
 本紙241号、242号で座談会「不登校をめぐる10年」が組まれていた。奥地圭子さんが「教育の多様性の必要」を訴えていたことも、小沢牧子さんが「選べない場所だが予期しないものがいろいろある場」の重要性を指摘していたことも、両方ともよくわかる。きっとこうした意見のちがいは、それぞれの「体験と実感」のちがいにあるのだろう。

 私自身、半年前なら、小沢さんの意見に、理解はできても、共感はできなかったかもしれない。息子は地元の公立中学を3カ月で「不登校するほかなかった」。昨年入った都立高校も行かなくなり、この春からは南の島のフリースクールに旅立ち寮生活をしている。慣れない集団生活、気の合わない寮生との人間関係、4年間ほとんど家で過ごしてきた彼が日々直面する未知の体験。畑作りや土木作業、団体競技…。電話やメールでグチもこぼす。が、いつも最後はこんな結論に至る。

「今はすることに"なぜ?”と考えないようにして、とりあえずがんばります」。

 好むと好まざると今は与えられるものに対して「選ばないことを選択してる」らしい。私としては、がんばりすぎて切れやしないか案じつつ、まあ、がんばりたいなら、やれるところまで、やってみればいいと思う。どうにもこうにも、がんばれなくなったら、 それはまたそのとき、息子の心と身体が決めること。それを見守り、彼の「今」に委ねたい。



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