「食料・農業・農村白書」(06年)によると、コンビニやスーパーなどで発生する食品の廃棄量は年間およそ1100万トン。食糧自給率が39%であるにもかかわらず、食べ物の3分の1を廃棄しているというのが、日本の食糧事情だ。品質に問題がないにも関わらず捨てられる食べ物があるなか、今日食べるものにも困る人たちが多くいる。そうした「飽食」と「貧困」という2つの矛盾を「フードバンク」という活動を通してつなごうとしている団体がある。今回は「セカンドハーベスト・ジャパン」の代表であるチャールズ・マクジルトンさん(以下、チャールズ)と事務局長の和田裕介さん(以下、和田)にお話をうかがった。
――活動を始めるきっかけは?
代表・チャールズ そもそも、私は山谷でホームレスや日雇い労働者の人たちに炊き出しをする活動をしていました。同時に、私自身もあえて隅田川沿いにテントを張って15カ月間暮らしました。そのなかで、食べ物があるということの重要性を痛感するとともに、飢える人がいる一方で大量の食べ物を捨てていることに対し、炊き出しをすること以外でも何か行動を起こしたいと考えるようになりました。
――「フードバンク」というのは日本では聞き慣れない言葉ですね。
事務局長・和田裕介 アメリカでは1960年代からとり組まれています。箱がへこんだ、期間限定商品が売れ残ったなどの理由で市場価値を失った食べ物を食品会社から提供してもらうんです。そうして集めた食べ物を児童養護施設や老人福祉施設、女性シェルターなどに届けるというのがフードバンクという活動です。
現在、アメリカでは200以上のフードバンク団体があり、社会的にも広く認知されています。日本で最初のフードバンクは2002年に設立されたセカンドハーベスト・ジャパンの前身である「フードボート」です。
「すべての人に、食べ物を」というメッセージのもと、炊き出し、ハーベスト・パントリー(食の配給)、フードバンク活動(食品会社からの卸し)、政策提言という4つのとり組みを柱として活動しています。
昨年、私たちが集めた食べ物はおよそ300トン。そのほとんどを福祉施設などに提供するほか、毎週土曜日には上野公園で炊き出しをしています。
日本で食べ物を提供するというと、炊き出しのイメージが強いかもしれませんが、むしろフードバンクというのは個人ではなく、こうした施設に提供することがメインです。
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