不登校新聞

創刊号(1998.5.1)

【報道】児童自立支援施設―何がどう変わったのか

2013年03月06日 14:44 by koguma
女性教師に対するナイフ殺傷事件を起こした黒磯の少年や、一人暮らしの老人を殴打し死亡させた浦和の少女が、家庭裁判所の審判のあと「児童自立支援施設」に送致されたニュースは耳にされていると思う。

 この「児童自立支援施設」は、児童福祉法によって定められている福祉施設で、もとは「教護院」である。児童福祉法改正が昨年六月国会で決まり、改正法に基づいて、今年四月一日より施行となった厚生省管轄施設である。

 「教護院」は、各都道府県に最低一カ所の設置が義務づけられていたところから、改正前、全国に五七カ所あり、万引き、恐喝、暴行傷害、シンナー、家出など、俗に「非行」と呼ばれる問題行動を起こした子が入所の対象であった。それ以上重い犯行(強盗・殺人など)の場合、少年法により、法務省管轄の「少年院」に送致されるのが一般的であるが、現行少年法では一五歳以上が対象であり、一四歳以下は教護院に措置される場合も含まれた。児童福祉法第四四条に「教護院は、不良行為をなし、又はなす虞(おそれ)のある児童を入院させて、これを教護することを目的とする施設とする」と規定されていたことによる。

 しかし、先月より「児童自立支援施設」に名称が変わったばかりでなく、目的が変わり、入所対象も従来より拡大されたのである。それは、先述の第四四条が次のように改正されたことから生じた。

 「児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を必要とする児童を入所させ、又は保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援することを目的とする施設とする」

 また、関連して第四八条も改正し、これまで施設内で、学校教育に準ずる教育を施設の職員などが行っていたのを、施設長に就学義務を負わせたため、学校教育も導入されることとなった。

 この四四条改正案が昨年四月から六月にかけて、大変論議をよび、主として不登校の子どもたちや親たち、子どもの居場所やフリースクール、教育や人権を守る活動にかかわる市民たちが、連日のように厚生省原案への異議をとなえて運動したことは、ご存じの方もあるだろう。

 厚生省は、教護院入所率が平均四割になった状況をふまえ、入所対象の拡大に「家庭環境等の理由から生活指導等を必要とする者」とし、具体的には、不登校、高校中退者を想定していたことがわかったからである。厚生省・文部省との会見、要望書と賛同署名、国会議員とのロビー活動、厚生委員会や本会議の傍聴、とりあげてくれた政党のヒアリング、全国アピールなどの取り組みの結果、原文のように国会を通過したが、衆議院附帯決議に「不登校であることを理由として児童自立支援施設への入所措置が行われることのないよう、児童相談所、都道府県児童福祉審議会及び児童自立支援施設への周知徹底を図ること」の一文が入ったのである。

 四月一日実施を前に、厚生省は、二月二四日、都道府県知事あてに「施行にかかわる留意点についての通達を出している。それには、「いわゆる不登校児又は登校拒否児若しくは高校中退者について、学校に行っていないこと又は高校を中退したことを理由として入所の対象とならないものであり、これらの点について、児童及びその保護者、児童相談所、児童自立支援施設等の関係者に誤解を生じることのないよう、特に留意し、周知徹底を図られたいこと」と明記されている。

 もっとも、教護院時代と比べて、不良行為をなした児童に加え、入所対象を拡大し、「生活指導等を要する児童」もというわけだが、それは具体的にどんな子をさすのか、また、入所への本人や親の意志がどう尊重されるのか、不安や疑問は解消していない。これらについては、別号で現場取材もあわせ報告したい。

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