不登校新聞

243号(2008.6.1)

第5回 湯澤直美さんに聞く(下)

2014年10月02日 15:18 by 匿名
2014年10月02日 15:18 by 匿名

連載「シングルマザーから見えるもの」

 前回に引き続き、立教大学准教授の湯澤直美さんのお話を掲載する。今回は、日本の離婚事情のほか、DVについて台湾や韓国などでのとり組みについてうかがった

――離婚の現状についてはどのように見られていますか?
 離婚といっても、もちろん一括りにはできません。離婚というと、家族の破綻といったマイナスイメージで語られがちですが、女性の声をうかがうなかでは、暴力や支配的な関係から解放され自分らしく生きられるようになったなど、実際には離婚して精神的に安定するという現実もあります。

 ただ、日本では、離婚についての研究が遅れており、どういう階層で離婚が多いかといった公的な調査はないんですね。女性の社会進出が増えたために離婚が増えたと、政府は指摘しています。しかし、それだけで離婚の全体像を語ると、離婚は「個人の問題」としてのみ帰結されてしまいます。しかしながら、失業率が増加傾向にある時期には離婚率も増加しているという現状をふまえると、経済的な困窮が家族の解体に結びつくメカニズムもあるということが考えられますので、自己責任論を超えて社会の問題として考えていく視点が重要だと思います。

 やせ細る福祉環境 


 福祉の給付額についても、日本が諸外国と比して低いことはOECDなどの調査で明らかになっています。日本では、家族給付という領域そのものにお金をかけていません。つまり、離婚を問題視する以前に、家族の生活基盤を支える政策に本腰を入れてとり組んできていない、ということに大きな問題があると思います。

――DVに関する相談件数が増えている一方、シェルターなどの整備はいまだ遅れていますね。
この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

「つらいなら1日ずつ生きればいい」実業家が伝える刹那的生き方のススメ【全文公開】

625号 2024/5/1

「他人を気にする時間はもったいない」SNS総フォロワー数160万人超えのひかりんちょさんが今つらい若者に伝えたいこと

624号 2024/4/15

「保健室は子どもに休み方を教える場所」元養護教諭が語る学校の保健室の使い方

624号 2024/4/15

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

625号 2024/5/1

「つらいときは1日ずつ生きればいい」。実業家としてマネジメントやコンサルタント…

624号 2024/4/15

タレント・インフルエンサーとしてメディアやSNSを通して、多くの若者たちの悩み…

623号 2024/4/1

就活の失敗を機に、22歳から3年間ひきこもったという岡本圭太さん。ひきこもりか…