フリースクール等支援策をめぐる動きが慌ただしくなっている。本紙では政策を推し進めるキーマンに取材し、フリースクール各団体にとって有意義な情報提供をしたいと考えている。第1回目は文科省初のフリースクール等担当官であり、フリースクール等プロジェクトチームの亀田徹さんにお話をうかがった。

――このフリースクール等プロジェクトチーム(以下PT)の設置経緯と目標から教えてください。
 まず経緯ですが、今年7月、教育再生実行会議の第五次提言のなかで、フリースクール等に関わる提言が盛り込まれました。また首相がフリースクール視察時に支援策の検討を指示しました。こうした指示、提言についてPTは文科省内で具体的に検討する部署であり、私は、その担当者ということになります。ですから、当面の目標は支援策の検討を進めること、そのため、近く、検討会を立ち上げる予定です。

――いつごろ検討の結論が出されるのでしょうか?
 そこはまだ決まっていません。

――亀田さん自身は任命を受けてどんな期待を持たれたでしょうか?
 不登校の子どもたちに対してどんな支援が必要なのかは子どもたちによって異なりますが、その必要性に応えられるような仕事ができればと思っています。その点では非常にやりがいを感じています。

 また、どんな支援が必要なのか、それは文科省でも調べますが、いろいろな場を通じて、こういうことが必要だということを教えていただければと思っています。もちろん、すべてに応じることはできないとも思いますが、すこしでも一人ひとりの必要性に応じたかたちで支援ができればと思っています。

ホームエデュケーションは?


――現在、検討されている支援策についてうかがいます。まず、フリースクール等の「等」のなかにはホームエデュケーションは含まれているのでしょうか?
 そこはこれから検討される部分ですが、検討はフリースクールへの支援に限定している訳ではありません。子どもたちの学ぶ場として、現状ではフリースクールやホームエデュケーションなど、いろいろな場があります。検討は学びの場から考えるというより、一人ひとりの子どもにとってどういうものが必要なのか、どういう支援が求められているのか、そこから考えるのが大事だと思っています。
 
――亀田さんは08年の本紙(254号)取材にて、貧困家庭への支援は優先して検討する必要があると指摘されていました。貧困家庭については、どのように検討されるのでしょうか?
 経済面での支援はこれからの検討課題のひとつになると思いますので、行政にできることはなにか、そこを考えていく必要があると思います。

――私はフリースクールで育った一人であり、支援の必要性を感じていますが、あえて逆の視点から質問します。文科省の調査によれば、フリースクールを含む民間施設の利用者は全児童生徒の0・02%にとどまっています。どんな根拠から支援の必要性を感じられていますか?
 一人ひとりの子どもたちの学ぶ権利を保障して、一人ひとりの子どもたちの力を伸ばしていくことは、保護者の役割でもあり、それを支援していくのが公の役割でもあります。学校に通っている子と同様に学校に通えない子にも学ぶ権利が保障され、力を伸ばしていくことが求められているからです。

――同様の視点からもう1点。安倍首相は「多様な学びが必要」と発言されていましたが、その根拠はどこにあると考えていますか?
 それは子どもたちの実態が多様だからです。学校教育の枠のなかの多様化も進めてきましたが、より踏み込んで学校以外の場での教育をどう位置付けるか、そこを検討するよう提言がありました。

――新聞社に寄せられた懸念から2点お聞きします。フリースクールが公的に位置づけられることで「多様性が担保されなくなるのでは」という声についてはどうお考えでしょうか?
 これから検討することですが、当然、これまでの活動の現状を踏まえて検討していくということになります。

――懸念をもう一点。多くのフリースクールでは学校復帰を目的とはしていませんでした。一方、文科省では学校復帰を目的とした政策を進めてきました。フリースクールが公的に位置づけられた場合、どんな成果が行政から求められると思われますか?
 現状では、どんな支援が可能になるのかが、まったく白紙の段階です。みなさまからのご意見に配慮して検討していきたいと考えています。

――ありがとうございました。  (聞き手・石井志昂)


□亀田徹さん略歴
(かめだ・とおる)91年大学卒業後、文部省(当時)に入省。不登校対応などの生徒指導室長などを経て06年に退職。2014年9月1日からフリースクール等担当官として復職。論文には不登校を制度上位置づけるための提案「多様な選択肢を認める『教育義務制度』への転換」などがある。