不登校新聞

395号 2014/10/1

不登校の法的な権利 弁護士・多田元

2014年09月29日 15:06 by kito-shin
2014年09月29日 15:06 by kito-shin


 今夏に浦和で開催された「登校拒否・不登校を考える夏の全国大会」の講演抄録より、弁護士・多田元さんの講演料録を掲載する。

講演抄録「不登校、どう考えたらいいか」


 私は一応弁護士ですが、不登校を経験した二人の息子の父親でもあります。

 息子たちの不登校の時期には役に立たないダメ親父でしたが、息子たちから人間として大切な多くのことを学びました。それは、学校に行かない時期があったとしても、親や大人社会が子どもの命をつぶしてしまうような悪さをしなければ、子どもはその人自身の生命力で成長し、親を追い越していくもので心配無用です。このシンポジウムのテーマ「不登校をどう考えたらいいか」の答えはこれに尽きるわけですが、それだけで終わって帰ったら、かみさんに怒られます(笑)。弁護士の仕事柄、「権利」の側面に注目して考えたいと思います。

 小中学生の不登校は約12万人。7000人増加したことについてはゆゆしき事態と言われますが、子どもは学校へ行くべきものという価値観へのこだわりが見えます。

 義務教育について、最高裁の1976年の判例が有名です。「学ぶことは子どもの固有の権利である」と述べています。固有とは「もとから存在する」という意味もあるが「その者だけにある」という意味もあります。つまり、学びは一人ひとりのもので、学び方、何を学ぶかはそれぞれちがっていいという意味です。

 憲法26条の義務教育は「普通教育」と書いていて、学校教育に限定していません。学校以外の色々な学びの場を法律で認めることを本来憲法が求めているとも言えます。

 不登校は子どもが学校にフィットしないものを感じて学校から離れたことを意味しています。
この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

不登校からの進学 わが子と話をする際に大事な5つのテクニック

594号 2023/1/15

もっとするっと不登校になればいい 不登校の専門家が考える4つの理由

590号 2022/11/15

不登校の子どもの心が元気になるために 親の対応で最も大切なこと

583号 2022/8/1

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

625号 2024/5/1

「つらいときは1日ずつ生きればいい」。実業家としてマネジメントやコンサルタント…

624号 2024/4/15

タレント・インフルエンサーとしてメディアやSNSを通して、多くの若者たちの悩み…

623号 2024/4/1

就活の失敗を機に、22歳から3年間ひきこもったという岡本圭太さん。ひきこもりか…