連載「シングルマザーから見えるもの」
連載「シングルマザーから見えるもの」では、自立への社会的要請が強まるなど、近年のシングルマザーをめぐる変化について取りあげてきた。しかし、そもそもその背景にはどのような問題があるのか、立教大学准教授の湯澤直美さんにお話をうかがった。
――シングルマザーなど、日本では女性への社会福祉整備が遅れていますね。
そもそも、女性にまつわる諸問題は「家族」という制度やシステムとの絡みのなかで規定される面があります。日本では「家族」というものが法的に強固なシステムとして、社会的に位置づけられてきた背景があります。
近年、女性の社会進出が増えるなど、現象面ではたしかにさまざまな変化がありました。一方、戸籍などの法的な問題は根っこのところでそのままです。その結果として、女性を従属的な立場に置く「制度としての家族」というもののあり方に対する社会的認識は大きく変化したとは言えません。
シングルマザー問題にしても、こうした制度そのものがマイノリティをつくりだしている側面があり、そのことに自覚的になれない状況が今の日本にはあると思います。たんに数としてのマイノリティではなくて、社会意識としてもマイノリティにおかれているということなんですね。
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