子ども編集部から、「元自民党幹事長、官房長官である野中広務さんに取材したい」という声が挙がった。野中さんは「被差別部落出身」を公言し、徹底して反戦を主張しているからである。野中さんから取材に応じるとの意向を受け、今回の紙面掲載につながった。野中さんには、戦争について、フリーター・ニートについて、反戦を訴える原動力についてうかがった。
――野中さんの戦争体験を聞かせてください。
僕は1925年生まれですから、国がだんだんと戦争へと向かい、実際に戦争が始まり、終戦を迎えるところまでを見てきた世代です。実際に私も戦争へ行って見事な戦死をとげるのが男子の本懐だと教え込まれ、自分でもそう思いこんでいました。そして、1945年の3月には召集令状も来ていました。
戦争というのは突然、始まるものではありませんが、いったん戦争が始まると、これは本当に恐ろしく、むごたらしい事態になります。人が人を平気で殺してしまう。軍人だけでなく一般市民までをも巻き込んだ被害が起きるのです。
先日、3月10日は東京大空襲の日でした。米軍からの爆撃によって東京が焼け野原になった日です。いまの東京を見ても、それを想像できないでしょう。思い出す人も少ないかもしれません。ましてや広島や長崎の原爆被害、そのすさまじい状況を想像するのは難しいことでしょう。
読者コメント