今回、子ども編集部が取材したのは、jealkbのメンバー。jealkbは、haderu(ロンドンブーツ1号2号/田村淳)らお笑い芸人が本気で音楽をするために結成されたバンド。jealkbのメンバーに芸人になるまでの経緯やひきこもりについての考えなどをうかがった。(文中・敬称略)
――みなさんが芸人を目指された理由から教えてください。
chaos
みんなそうだと思うけど「天下を獲ったるぞ!」 みたいな夢を持って飛び込んだんじゃないんだよね。もっと単純に、目立ちたいとか、モテたいとか、そんな気持ちからだよね、スタートなんて。
でも、そのうちにこの世界の難しさやおもしろさに気づいていった人しか残らないんだけど。
mofto
中学のとき、友だちとケンカをして、全然、口を聞いてくれなくなったことがあるのね。それから半年後ぐらいかな、別の友だちと遊んで楽しそうにしてたら、そいつが自分のところへ戻ってきた。そんときにお笑いの力というか、おもしろいことの持つ力って「すごいな~」と。その後にこの世界に入ったんだけど、契機は中学生のときにあったと思う。
方向性が見えなくても
haderu
オレもお笑いをやりたいと思ったのは中学のとき。漫才みたいなのを人に見せたとき、みんなが笑ってくれた。それは、学校のクラスのなかだけっていう、すごく小さい世界だけど、そのときにつかんだ感覚が自分にとってはすごく楽しいものだった。だから、この感覚をずっと持っていたい、人を笑わせてメシが食えればベストだなって。だから、この世界に飛び込む人は、お笑いの力に助けられたり、人を笑わせてうれしかったり、そういう経験があった人たちだよね。
――「やりたいことを見つけないと」という焦りを感じたことは?
hideki
自分のやりたいことを見つけなきゃって思うと、窮屈になると思う。もし自分がやりたいことが見つかったら、そのときには夢を叶えるための道を考えればいいんじゃないかな。
chaos
それに10代だったら、自分の方向性なんて決まってなくていいと思うよ。オレなんか、キミと同じ、16歳のころは、ずーっと自転車に乗って夕陽を追いかけてたから(笑)。全然、たどり着かなかったけど(笑)。
ediee
僕なんか、ずっとチョコばっかり食べていて、歯を腐らせたし(笑)。
haderu
「やりたかったこと」も、いざ始まってみると、よくわかんなくなることだってあるよ。いまは中学生のときに思ってたことが、それなりにできてるけど、ここが本当の居場所かどうかはわからない。だから、いまも自分のなかの「本当の軸」みたいなものを探している最中だし、このバンドもそれを探す道の一つだと思う。
――新曲「Fly」ではメッセージ性の高い曲が含まれていますね。
haderu
オレらのバンドは、もともと趣味でやっていたんだよ。なんか楽しいことをやろうって集まったメンバーだから、インディーズのころはただ自分たちの楽しいことだけを考えてた。だけど、メジャーデビューを機に、より多くの人に聞いてもらいたいと思って、いまは前向きなメッセージを込めた歌をつくってる。
自問の時期が…
ただ、もともと前向きなメッセージって、オレ自身、苦手なんだよね(笑)。だから、今回の作詞は、自分のなかにある数少ない前向きな言葉を振り絞った(笑)。
――「ひきこもる」ことについてのお考えは?
haderu
オレもひきこもってた時期があったよ。
田舎からお笑いを目指して出てきてから3カ月後ぐらいかな。いっしょに東京へ出てきた同級生が、黙って居なくなっちゃったんだよ。東京に出てきたばっかりだから、頼る人はいないし、かといって田舎には帰りたくない。ホントに一人きりになっちゃって、家のなかにずーっと居た。そんときは「何がしたいんだ?」「どうしたらいんだ?」って、ずっと自問自答ばかりして、もうノイローゼっぽくなってた。それで、生活費がなくなるから、とにかくバイトだけは始めたの。そしたら、バイト先の人と話すことで、自分のなかのバランスが戻ってきたんだよね。だから、まったく意味がないことでも、頭より体を動かして、行動するほうが実感として、うまくいったな、と。
どうしても頭だけで考えてると、ネガティブになったり、先のことを考えたりするんだけど、いい選択ができたときは、考えたことより「匂い」で決められたときのほうが多いから。いまも仕事は全部、「匂い」で決めてる。
――たしかに嗅覚のほうが信頼できることは多いですね。
haderu
みんな人間の野生の部分を持っていて、自分にとって「いい匂い」をかぎつける能力があると思う。大事なのは、それをきちんと研ぎ澄ましているかどうかじゃないかな。
学校や先生から絶望的な気持ちにさせられたこともあるかもしれないけど、世の中は学校だけじゃない。もっと甘えていいと思う。単純に人間として、居やすい居場所を求めていいと思う。オレも芸能界でつき合いづらい人の飲み会は、顔しか出さないし、いろんなとこで甘えてるよ(笑)。とにかく、親とか近所のおばちゃんとか、自分を認めてくれる人や場所がきっとあるから。それが見つかるといいよね。で、そういう居場所や自分にとっていい風が吹く場所を探すのは、やっぱり、動きながら「匂い」を嗅ぎとるしかないと思ってる。
――ありがとうございました。(聞き手・子ども編集部)
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