不登校新聞

339号(2012.6.1)

論説 内田良子「学生運動と登校拒否」

2013年12月20日 18:11 by kito-shin
2013年12月20日 18:11 by kito-shin


 『Fonte』が存続の危機にあるという号外が前号で発行されました。各地の登校拒否を考える会の通信が、つぎつぎにこの危機を伝えています。休刊になったら困るという切実感が伝わってきます。主張し考えるミニコミ紙は、ともにつくり、ともに広げるという連帯行動なくしては持続が難しいことを再認識させられる出来事でした。

 『Fonte』は登校を拒否し不登校を続ける子どもたちや、家を居場所にし、人間らしく生きたいと悩み思索する、ひきこもる若者たちの必然性と正当性を発信する唯一のメディアです。

 「学校へ行かない悪い子が日本中で僕一人でも、僕は学校には行かない」と親の登校強制に必死に抵抗し、訴えたのは小学4年生でした。この言葉を親から聞いたとき、私の脳裏に鮮やかにフラッシュバックしてきたのは「造反有理」という言葉です。いまから40数年前、私が東大で臨時職員として働いていたとき、本郷のキャンパスに林立していたタテ看板に、その文字はひときわ大きく鮮やかな筆跡で踊っていました。1968年、東大をはじめ、全国各地の大学で、学生たちは大学の権威主義と国家権力に対してNOと声を上げて学園闘争を展開し、115校の大学へその主張と行動は拡大しきました。学生たちはビラやタテ看、機関紙などで自分たちの主張とそれを裏付ける思想や価値観を発信し、学生や市民の理解と共感を得ていきました。
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