不登校新聞

234号(2008.1.15)

第19回 2007年をふり返って【上】

2014年12月11日 15:34 by 匿名

連載「精神現象」


 07年が去り、08年を迎えた。過ぎ去った年を回顧して、年末の各新聞は、恒例の重大ニュース特集を行なっていた。そのうちのいくつかを取り上げてみよう。本連載の最後にあたって、私なりの社会への基本的視座を示してみたいからだ。

 「ゴア氏にノーベル賞/地球温暖化クローズアップ」というニュースがあった。ゴア氏の映画『不都合な真実』が日本で封切られる少し前に、彼は温暖化防止キャンペーンのため、豪州を訪問していた。そのころ、私は国際児童青年精神医学会に参加するためメルボルンにいて、学会が終わったあと、たまたまこの映画を見た。

 学会では、パワーポイントを駆使した発表が行なわれる。ビジネスマンの製品プレゼンテーションと同じだ。発表を聞くものは、パワーポイントで示されたグラフや写真を、自らの経験と照合して考えたり、意見を述べることができる。ゴア氏の映画も、パワーポイントの技術という点では、学会発表と変わらないどころか、それらを上回るきらびやかさを持っていた。だが、決定的にちがう点もあった。聴衆にとって、参照しうるみずからの経験が、かぎりなく不確実なのである。
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