連載「不登校の歴史」
95年発行の『こころの科学』(日本評論社)では、特別企画として「子どもの精神障害」を取り上げた。編者は河合洋氏である。その中の一つに不登校が取り上げられ、児童精神科医の門眞一郎氏が「不登校の精神生理学」と題して論文を寄稿している。論文では、まだ「学校嫌い」と言っていたころの、文科省の調査結果が用いられている。
門氏は、95年ごろから増加の一途をたどり、一向に歯止めがかからないのは、不登校に関する関係者の理解が根本的に誤っているからではないか、と投げかけている。執筆時は、不登校増加からちょうど20年が経った時期である。まず、学校についての感じ方・考え方が不登校の子どもと教師では非常に大きく異なり、学校側の、毎日学校に来るのが当たり前というような考え方は当然通用しないと指摘する。
不登校の定義は、自分では「学校へ行きたい、あるいは行かなければならないと思っているが、いざ行こうとすると、不安がつのり、どうしても行けないという状態」だという。
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