沖縄の「集団自決」問題について、本紙前号にて教科書検定という側面から取りあげた。ではもうひとつの側面――当事者の視点からは何か見えてくるだろうか。今回は、「集団自決」の生存者に取材を続けているフォトジャーナリスト・森住卓さんにお話をうかがった。
――「集団自決」問題を取材するきっかけは?
私は長年、沖縄の米軍基地問題について取材を続けてきました。そのなかで07年3月、「集団自決」における旧日本軍の強制と関与を歴史教科書から削除せよとの検定意見がつきました。この問題をめぐって沖縄県全体が揺れ始めたのを、現地にいた私は肌で感じました。昨今の政治情勢や「集団自決」での軍命令の記述をめぐって争われている『沖縄ノート』訴訟など、一連の動きがあるなかで起きたこの問題をどうしても看過できませんでした。それらを踏まえ、検定意見の根拠となった沖縄県慶良間諸島の座間味村と渡嘉敷村で、いったい何があったのか。きちんと知りたいと思い、生存者の方々への取材を始めました。
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