「お誕生日おめでとう」の私の言葉に、娘の"産んでくれてありがとう”の言葉が重なった。親として、これほどうれしいことはないと思えた瞬間。娘の18歳の誕生日に日付が変わったときのことだ。
彼女は9歳の秋、突然、学校に行けなくなった。「行きたいのに行けない……」と毎日毎日、泣き続ける娘の姿は痛々しく、ありったけの言葉で励まし抱きしめることしかできない自分がもどかしかった。
転校先の学校での学級崩壊がきっかけで不登校になったため、娘の希望で以前いた学校に戻れたものの、校長どうしの険悪なムードに巻き込まれるかたちとなり、ふたたび不登校になった。そんな娘につらい登校刺激をくり返し、学校とのやりとりには全身のエネルギーを奪われた。
以降、家で過ごすことになるが『学校に行って当たり前』という意識を持ち続けていた娘から生まれたものは"激しい自己否定”だった。
今の彼女からは想像もできないぐらい、悲惨な毎日に、一日が長く感じられた。
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