赤道直下の南太平洋、オセアニア諸島に浮かぶ島国、ツバル。9つの島々からなり、国土総面積は東京都品川区と同程度。およそ1万人が漁業などで暮らしている。そのツバルが近い将来、地球温暖化による海面上昇の影響で、海に沈むかもしれない危機に直面している。そうしたツバルの現状を救うべく、多方面で長年活動している遠藤秀一さんにお話しをうかがった。
――ツバルに関わるようになったきっかけは?
ツバルの存在を初めて知ったのは、92年にリオデジャネイロで開かれた地球サミットでした。当時、建設会社の設計部で働いてたんですが、入った会社が大きくて。エコロジーな建物を設計したかったのに、スキー場やドームをつくったりと、仕事すべてがエコとはほど遠かったんです。だんだん嫌気がさしてきて、8年目で辞めちゃいました。地球温暖化の影響で海に沈むかもしれない国があるのに、ドームなんかつくってる場合じゃないなって思って。
98年に会社を辞めた後、仕事の関係で初めてツバルを訪れたんです。そこでツバルの文化や自給自足の生活に触れ、「人間のベースになる生き方ってのはこういうもんなんだろうな」って痛感してね。あのころの日本って、ブランド物のスーツを着て働くというようなトレンディードラマが流行っていました。私がいた建設会社は新宿の高層ビルにあって、まさにそうした状況だったのです。
いまでもそうだけど、日本は「生きている」ことに感謝することを忘れてしまって、どれくらい給料もらって、どれくらい高価な服を着てというような、自分の付加価値のどうでもいいとこで頭を悩ませ、ストレスを溜めていく社会でしょ。ツバルの人々の生活を見ていたら、そういうのがバカバカしく思えてきちゃったんですね。こんな風に大切なことに気がつかせてくれたツバルを守りたいな、と思ってツバルの問題にとり組むようになったんです。
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